ジャンヌ・ダルク 公演情報 TBS「ジャンヌ・ダルク」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    カリスマ演じる有村架純に注目の演劇
     有村架純演じるジャンヌ・ダルクは圧倒的な
    カリスマだ。フランス軍の
    兵士達が、彼女の叱咤激励に戦意を高揚し、
    敵軍に勇敢に立ち向かっていく。
     舞台は15世紀のフランス。イングランドとの
    百年戦争の真っ只中。フランス劣勢の時代に
    田舎で羊飼いをやっていた彼女は、ある時
    神から啓示を受ける。
    「フランスを救え。王太子シャルル7世を王にせよ」と。
    厳しい戦況ゆえに、シャルル7世(東山紀之)は
    正式な王になれずにいたのだ。
     神の啓示を説くジャンヌは周囲から奇怪の目で
    見られる。だが、彼女が起こす数々の奇跡や
    純粋で力強い言葉は多くの者の愛国心を掻き立て、
    勇気を奮い起こさせた。激闘の末、ついに
    シャルル7世は正式な王位に就く。
     しかし、喜びも束の間。自分の知らぬ間に
    フランス王宮内での醜い派閥争いに巻き込まれた彼女は、
    敵軍に囚われてしまう。彼女を待ち受けて
    いたのは宗教裁判。いわゆる魔女狩りだ。法廷では御方が
    誰一人いないという絶体絶命な状況の中、彼女は一人
    「言葉」だけで敵と堂々と闘っていく。

     今でもフランスでは祖国を救った英雄として敬われている
    ジャンヌ・ダルク。彼女が特異なのは女性兵士という
    だけではない。職業軍人だけで戦争する時代にあって
    彼女は民衆の出であった事。王宮や貴族・軍人内での権力・
    名誉・財産争いの延長上で敵国と戦っていた時勢に、
    初めて「挙国一致の祖国防衛」という概念を持ち込んだ事。
    彼女は時の慣例に縛られない、純粋な思いを持つ革命児
    だったのだ。ゆえにカリスマたりえた。
     権力争いを繰り広げる筆頭侍従官(西岡徳馬)や
    宗教裁判で自身の権威を誇示する神官(田山涼成)など
    彼女の周りは自分の都合のいいように慣例を利用する
    腹黒い人間だらけ。逆にそれが彼女のピュアさを際立たせる。
     ジャンヌの純真さを有村架純が見事に体現している。
    汚れ役のベテランに混じり、初舞台の彼女の演技が初々しい。
    金属製の甲冑の衣装を着て、身体の2倍程もある旗を
    振りかざしながら、今まで聞かせた事がないような
    低く力強い口調で、自身の危険を顧みず兵士達を鼓舞する。
    こんな女性が戦場にいたら、こんな女性が舞台に一緒に
    立っていたら燃えない者なんて誰もいない。
    約600年前に生きたジャンヌも有村と同じような思いで
    見られていたに違いないと思った。

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    2014/11/02 02:27

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