満足度★★★★
豆腐はどう切っても豆腐
岸田國士の短編2編。
前半の「葉桜」は、見せ方はコンテンポラリーながら台詞回しは正統派。
従って瞑目すれば極めてオーソドックスな感覚。
そして視覚と聴覚のギャップに「カサブランカ」など往年の白黒名作映画に着色したものやモンローの肖像を加工したウォーホルのポップアートなどを想起。
休憩を挟んでの「ぶらんこ」は夫婦の会話劇を3人の女優が演ずる趣向。
役を固定せず各女優が夫を演じたり妻を演じたりするだけでなく、同じ台詞を2人の女優が片や普通に片や節を付けて同時に発したりもする変化球ぶり。
が、アレンジの「基礎編」たる葉桜を経て「応用編」的なぶらんこということで、さほど違和を感じない。
むしろこんなアレンジを施しても岸田は岸田…みたいな。
少し前に観たオクムラ宅の「さくらんぼ畑 四幕の喜劇」が、ああいう見せ方によって逆に元の戯曲の構造を露にしたように、7度の「葉桜/ぶらんこ」はコンテンポラリーなアレンジを加えることで岸田の岸田らしさを抽出したのではないか?
「豆腐はどう切っても豆腐」ってコトですかね。