満足度★★★
虚業
虚構性をモチーフに、癖の強い人物達がエネルギッシュに描かれていて、猥雑な雰囲気が印象的でした。
売れないテレビタレントの女が頭にパトランプを乗せた怪しい男に出会うことから新たな価値観を得て行く物語で、3時間弱という長い上演時間でだれることの無い求心力がありました。
開演前から音響や照明、座席に置かれたチラシの束に仕掛けが施されていて、開演冒頭のいかにも典型的な臭い芝居の演技・演出がフィクション性を強調して、その後の展開を期待させましたが、それ以降は物語内での虚構性が中心となって意外と普通の内容となり、ステージと客席の間に存在する演劇という形式が持っている虚構性を意識させる仕掛けがあまり無かったのが残念でした。
ハイテンションに叫ぶような台詞回しや大音量の音楽(生演奏もありました)、下ネタを含めた笑いを多用するエンターテインメント性に富んだ熱い演出・演技で、個人的に苦手なタイプの作風だったので、世界観に入り込み難かったです。
大きな舞台美術を役者達自身で動かして場面転換するのがスピード感があって良かったです。