暴走ジュリエット/迷走クレオパトラ 公演情報 柿喰う客「暴走ジュリエット/迷走クレオパトラ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アニメ風ロミジュリ
    おなじみのストーリーをスピーディーに、14人の女優陣がキメキメポーズも鮮やかに見せる。
    見た目の男らしさは一切追わず、髪の長さや身長など女性の可愛らしさを敢えてそのまま、
    「マジ」とか言いながら声優風にテンション高くセーラー服のジュリエットが叫べば
    “アニメ ロミオとジュリエット”が完成した感じ。
    小柄で華奢なロミオが「け、け、けっこん!」なんて言うと、ちょっと前に
    女であることを隠して男子校へもぐりこんだ堀北真希ちゃんのドラマを思い出す。
    でもそれが、ツッコミどころ満載の事件の愚かしさと若い二人の哀れさを強調するから面白い。
    柿の女優3人の力量が突出して素晴らしく、劇団員総出の公演が観たいと思った。

    ネタバレBOX

    舞台中央に丸いお立ち台。
    セーラー服の少女(深谷由梨香)が登場してテニスのラケットを振ると
    グッドタイミングで豪快な効果音、これが気持ち良くて
    のっけからこのリズムに巻き込まれる。
    この少女は、“恋を知らないロミオ”が今夢中になっている相手だが
    すぐにロミオはジュリエットと出会い、心はそちらへ飛んでしまう。
    後は早送りのようにロミジュリストーリーが展開。

    要所々々の演出が面白い。
    たとえばジュリエットの死を知ったキャピュレット家の人々が
    丸いお立ち台の周りをごろごろ転がっていくシーンや
    決めポーズにビシッと当たるライトなど
    “柿風様式の美”がおなじみのストーリーにメリハリをつけてくれる。
    ジュリエット役の佃井皆美さんは声も体のキレも良くて熱演だと思う。
    キャピュレット夫人(七味まゆ味)、乳母(葉丸あすか)、ロレンス神父(深谷由梨香)、
    この3人が出てくるとその貫禄と存在感で舞台が落ちつく。

    ラスト悲劇の恋人たちが死ぬところでは、やはり原作の持つ台詞の力がものを言う。
    軽いノリで来た舞台が究極の選択で終わる、その残念な結果が原作の台詞で際立つ。
    そして大事な人を喪って初めて目が覚める人間の愚かさが残る。
    中屋敷さんの演出は、悲劇というより“哀しい喜劇”としてのロミジュリのテイストを
    上手く伝えている。

    若干コンパクトにまとめすぎの印象も受けたが、人気劇団の力を感じた。
    “女体シリーズ”って、女優にある種のパワーを要求する。
    美しく華奢なだけでは役が細って、“女子高演劇部”になってしまう。
    小柄でも“全身ドヤ顔”くらいの力強い表現がなければ、観る側はずいっと入り込めない。
    中屋敷さんの、次の作品も観てみたいと思った。

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    2014/10/21 02:55

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