満足度★★★★★
櫻井脚本と名嘉演出の取り合わせを堪能/90分強
さすがは櫻井戯曲、設定やストーリーはチラシその他にある通りで、例によって錯雑を極めているが、名嘉演出を通すことで分かり良くなっていた印象。
名嘉さんも得意な男女間の喜劇的愛憎劇ゆえきちんと戯曲が咀嚼・消化されているし、名嘉演出の下では、役者がセリフの一つ一つを噛み砕くようにして口にするので、マシンガントークの応酬みたいになりがちな櫻井演出よりも一語一語がちゃんと心に落ちてくるのだ。
その分いくらかテンポが削がれて笑いは薄くなっていたのかも知れないが、複雑極まり過ぎていて時に可笑しい男女の痴情をみごと言語化した名脚本が、それをきちんと読み解いている演出家と役者によって巧みに舞台化されていて、前傾姿勢で見入ってしまった。
というわけで、オススメッ!!…なのだが、そこはそれ理屈っぽい桜井戯曲、名嘉演出により分かり良くなってはいても、あんまり気を抜いて観ていると話を見失ってしまうのでご注意あれ。