黄金のコメディフェスティバル2014 公演情報 黄金のコメディフェスティバル「黄金のコメディフェスティバル2014」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    6団体をすべて見終えて
    昨年から始まった「黄金のコメディフェスティバル」はとても素晴らしい企画だと思う。
    「コメディ」に的を絞り、短い時間ながらも45分の時間を確保し、全部で6団体の作品が見られるというのは、とてもいい。
    しかも今年登場する団体の顔ぶれが、内容の良さを期待できるものだった。
    しかし、観はじめて少し違和感を感じた。

    ネタバレBOX

    前回「2013」では、団体ごとのレベルの差こそあれ、どの公演も楽しかった。
    今回「2014」では、コメディ劇団として定評のある3つの団体と、普段はコメディをやっていない、人気のある3団体がフェスティパルに登場した。

    そのアナウンスを聞いたときには、面白いものが見られると期待した。
    コメディ劇団3つは絶対に面白いだろうし、残りの3つの劇団もどんな風なコメディを見せてくれるのか楽しみだったのだ。

    しかし、いざ蓋を開けてみたら、期待とのギャップがあった。

    前回「2013」では、先攻の劇団からいい感じに笑って、観客は笑顔のまま休憩時間に入り、そして後攻の劇団でも笑った(フェスは1コマ2劇団で行われる)。
    そういう「幸福な時間」がフェスティパル全般にあったと思う。
    しかし、今回は、「それほど笑ったわけではない」という作品もあった。
    演劇としてのレベルが低いものではないが、前回のように2つの劇団の相乗効果が生まれ、全体的な印象として「笑った」「楽しかった」という印象はさほど強くは残らなかった。

    「相乗効果」って大切だなと思った。

    それは、普段コメディをやっていない劇団の作品が、「コメディではなかった」からだ。
    ご本人たちは、コメディだと思っているようだが、観客の1人としては「すこし違うな」と感じた。

    「コメディ」という言葉の定義や、それへの感じ方はもちろん人それぞれだろう。
    「笑える演劇」=「コメディ」と思っている人もいるであろう。
    それが間違っているとは思わない。

    しかし、「コメディ」と「コメディじゃないも」ものとは違うはずだ。
    少なくともこのイベントで違わなければならない。
    そうでなければ、「コメディフェスティバル」というタイトルに意味がないからだ。
    別にコメディにこだわらないのならば、「演劇フェスティバル」でいいわけなのだから。

    私が考える「コメディとコメディじゃない」の違いはこうである。

    「コメディ」とは、「笑い」が最初のテーマであり、作品の軸である。
    主従の関係で言えば、「笑い」が主でその他は「従」となる。
    「笑い」とは多様なものであるから、脳天気なものもあれば、哀しみの中にある笑いもあると思う。それをどう見せ、観客に感じさせるのかは劇団のセンスである。

    ただし、「その他が従」であるとしたが、あくまでもそこには「物語」があることが前提である。「物語」とは単純に「ストーリー」ではない。登場人物の背景が見え、そこに「人」が浮かび上がってくるものだ。
    コントとはそこが違う。「笑えてなんぼ」「笑わせればいい」というものではない。「演劇」という範疇にコメディはあるからだ。
    そうした「笑い」を丁寧にすくい上げて、「物語」として観客に届けるのがコメディだと思う。

    「コメディでない」ほうは、「笑い」は「従」である。いわば、舞台の上の副産物のようなものではないだろうか。

    今回のコメディを普段やっていない劇団の参加はとてもいい企画、アイデアだと思ったが、実際に観て、「コメディとはどういうものなのか」ということに少し触れたような気がする。

    だから、できれば、次回「2015」は、コメディ劇団だけを取り上げてほしいと思う。
    「コメディ命」で、活動を続けている劇団は多い。
    そういうコメディ劇団だけを集めて、「コメディフェスティバル」にふさわしい、コメディ劇団の甲子園のような位置づけになってほしいと思う。

    言い方は悪いかもしれないが、一朝一夕で「コメディでござい」と作品を見せる劇団ではなく、それ一筋でやってきたコメディ劇団のためのフェスティバルになってほしいと思うのだ。
    それでこそ、「コメディフェスティバル」の意義があると思う。

    「コメディ」にこだわってほしい。
    「コメディ」という言葉を大切に使ってほしい。
    そう思う。

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    2014/09/30 21:49

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