満足度★★★
居場所についてのコラージュ
言葉、身体表現、音、映像が対等に扱われた、イメージ豊かな表現が魅力的な作品でした。
舞台奥上手にドラムセット、下手に銅羅やパーカッションが設置されていて、ドラムの短かく激しいフレーズに合わせて役者達が踊るように動く前半に続いて演奏だけのシーンがあり、後半では金属製楽器中心の神秘的な持続音が響き続ける中でパフォーマンスが繰り広げられる構成で、一貫性のある物語は無く、『不思議の国のアリス』との関連がうっすらと感じられる断片的なシーンが連なって、自身の居る場所について考えさせる内容でした。
ペットボトルの水、林檎、小石、マッチの火といった小道具が場面毎に様々なイメージを連想させ、狭い空間の中に独特の開放感が漂っていてました。
動きや佇まいにアリスを連想させる少女的なエロティシズムが感じられ、印象に残りました。
作品は良かったのですが、客席の丸椅子を人の肩幅より狭く配置していた為、80分近く不自然な体勢を取らざるを得ず、後半はかなり苦痛でした。また座り込んでの演技や床に置かれた小道具は全く見えずストレスを感じました。演出家あるいは制作担当が客席に実際に座ってチェックして欲しかったです。