ミュージカル『ファントム』もう一つの“オペラ座の怪人” 公演情報 梅田芸術劇場「ミュージカル『ファントム』もう一つの“オペラ座の怪人”」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

    とてもプロの演出とは思えず…
    城田さんがファントム演じると知らされた時からずっと待ち焦がれていた公演でしたが、心底ガッカリしました。

    この作品は、宝塚で2度、大沢さんのファントムで、一度観ていて、その度感動した舞台でした。

    以前、城田さんがコンサートで、この楽曲を見事熱唱され、大変期待に胸を膨らませて観劇したのですが、キャストのせいではなく、あまりにも、演出がチープで、セットも、この作品の世界観を壊す作りで、その上、役者の出捌けが、ご都合主義で、ストーリーの流れを分断し、矛盾だらけで…。

    随所に、あり得なさ満載の、残念極まりない舞台になっていました。

    せっかく、山下リオさんのクリスティーヌの歌唱も良かったのに…。

    ネタバレBOX

    オペラ座のセットが、無機質な、スチール梯子様の階段をメインにして、それを場転の度に、スタッフがギシギシと動かし、まるで、舞台世界の情感をぶち壊しなことにまずビックリ。

    シャンドン伯爵役の日野さんには、当時の伯爵の気風は微塵も感じられず、その上、2階席には、台詞が不明瞭で、何を喋っているのか、全く聞き取れず。

    カルロッタのマルシアさんがソロを歌う場面は、オペラ座と言うより、「ジキルとハイド」の娼婦の館風な雰囲気の空間だし、エリックの父である、支配人ゲラールが、息子の本性を危惧して、エリックやクリステーヌを諭すために登場するシーンは、たとえ説得に失敗しても、台詞が終わると、あっさりと、心を残すこともなく、退場するし、どこもかしこも、これが、演劇のプロによる演出舞台とは、俄かに信じ難いシーンの連続でした。

    オペラ座の重厚さを、全て体感させてくれと無謀な希望は致しませんが、たとえ簡素なセットであっても、観る側の空想力を刺激するような説得力のある簡易舞台にしてほしかったと思いました。
    それでいて、ファントムが、クリステーヌに愛を告白する場面は、夢の中という設定なのか、そこだけ、まるで「真夏の夜の夢」のような幻想的な美しい舞台背景で、それまでの世界観とあまりにもギャップがあり過ぎて、それはそれで、かえって白けました。

    アンドリューロイドウエバーの怪人に比べて、人間描写が優れているこの「ファントム」、大好きな作品だっただけに、本当に悔しい思いさえしました。
    ファントム(エリック)の造型も、どうかすると、現代の引きこもりニート青年風で、違和感を覚えました。

    今まで必ず、涙なしには観られなかった、ゲラールの息子への懺悔のシーン、彼のソロナンバーは、この作品の要なのに、吉田栄作さんの心もとない歌唱につき合わされて、学芸会を見守る保護者のように、ハラハラして、感動どころの騒ぎではありませんでした。

    改めて、演出の手腕は、舞台の必須要素だということ、かつての宝塚版、小池修一郎さんの演出は素晴らしいということを痛感させられた舞台でした。

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    2014/09/27 09:35

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