満足度★★★
引き込まれるぎこちない会話
未知の他人とコミュニケーションを取ろうとすることの難かしさや滑稽さがナンパをモチーフにして描かれ、ドラマティックな展開や派手な演出は無いものの会話だけで魅力的でした。
ボーリング場の前でナンパしようとする仕事での先輩後輩の男2人、そこを通りかかった女2人、母がナンパされるのを阻止しようと未来からタイムトラベルして来た男女2人、ボーリング場の店員の女が組み合わせを変えながら、なかなか進展しないぎこちない会話を続ける物語で、どの登場人物にも変な部分があってイライラさせられながらも、食い違いや妙な間が生じるやりとりが笑えて面白かったです。
開場すると既にナンパをしようとする2人が舞台上にいて、開演までの時間をナンパ相手が通らないことの表現としていたのが巧みでした。
最初に舞台にいた2人が話しながら客席の出入口から捌けて行くと同時に客席が次第に明るくなり、カーテンコールも無く終わるのが、そっけなくも冒頭と対応関係が持たされていて印象に残りました。
音響は効果音やBGMを用いずに、車が行き来する環境音のみで、声を張らずに日常的な音量で喋る台詞を引き立てていたのが良かったです。