満足度★★★
あっさりとした演出
ブレヒト&ワイルの名作を所々で笑いを取りつつもオーソドックスに演出していて、内容は分かり易く演技や歌も良かったものの、もう少しどぎついアクがあっても良いと思いました。
舞台両袖から奥の中央に向かって伸びる階段と石畳(風の塗装)の床の空間の中で、場面が変わっても大幅なセットの転換は行わずに展開して行きました。
戯曲には無い滑稽な台詞や動きがあって、アイロニカルな雰囲気よりもコミカルな雰囲気が強く感じられました。特に第2幕後半の牢屋の場面は笑える場面が多かったです。
この作品の特徴である、取って付けた様なエンディングの場面の演出はシニカルさを極端には打ち出していなくて、人間讃歌的な温かみを感じました。
オペラやミュージカルの様なドラマ性を排した、ドライな響きの音楽が小気味良く、歌詞も聞き取り易かったです。
マイクによる拡声に頼り過ぎず、スピーカーからではなく、ちゃんと役者のいる場所から歌声が聞こえて来たのが良かったです。
牢屋を連想させる、ストライプ状に床を照らす照明でアクティングエリアを絞っている内に転換を行う手法が用いられている割には、時折妙な間が出来てしまっていたのが気になりました。