安部公房の冒険 公演情報 アロッタファジャイナ「安部公房の冒険」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    安部公房…人間ドラマ
    新国立劇場_小劇場、舞台セットは下手に仕事場兼若手女優とのラブ場面、上手は家庭生活と妻との夫婦関係の場面に見立て、同時並行に二人の女性との間を揺れ動く様を観せる。人間、安部公房の魅力が濃縮された公演であった。

    ネタバレBOX

    安部公房は小説家というイメージが強く、劇作家としての印象はあまりない。しかし、下世話な表現をすれば”身の上”と”身の下”の虚実織り交ぜたエピソードを散りばめ、人間(男)、安部公房の人物像を浮き彫りにした。
    まず、”身の上”では、自分の脚本の演出面に対する不満、海外の高評価への破顔、国内における酷評に対する憤慨など、第三者評価に一喜一憂する姿が人間くさい。また”身の下”では、若手女優と交情し、一方妻とも夫婦関係を続ける。この身勝手で優柔不断な安部公房役の佐野史郎が実にいい。そして妻(辻しのぶ)と若手女優(縄田智子)の女性の性、嫉妬、驕慢が切ないほど伝わる演技も見応えあった。
    黒木瞳主演の映画「化身」(1986年、原作・渡辺淳一)を思い出した。設定は文芸評論家とホステスの違いはあれど、段々魅惑的になっていく女性に溺れ、やがて…。この文芸評論家が安部公房、ホステスが若手女優に置き換えれば、と勝手準えてみた。
    有名作家・戯作者である安部公房の半生を描いた人間ドラマ…実に面白かった。
    ちなみに安部公房、渡辺淳一とも「前立腺がん」だったようだ。

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    2014/08/25 18:12

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