恋する小説家〜映画と舞台のW上演〜 公演情報 Moratorium Pants(モラパン)「恋する小説家〜映画と舞台のW上演〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    重なることで惹きだされる演劇と映画それぞれの良さ
    最初に映画を観て演劇を観ました。
    映画がまず面白く、でも、演劇にはその世界を受け継ぎながらも、異なる面白さがあって。

    多くの役者がかぶっていても、ベースは共有されていても、同じ物語を2回観たという感覚はほとんどなく、それぞれの味わいが相乗効果としてやってきました。

    ネタバレBOX

    最初に観た映画、ちょっととほほな感じで始まるのですが、仕組が次第に見えてくると、その妄想の世界のふくらみと小説とのリンクのさじ加減のうまさが実に良く、どんどん引き込まれていく。
    最初に現れる女子高生に不思議な実存感があって、そこにテイストの被ることなく被害者という次のキャラクターが現れ、さらに被ることのないキャラクターが差し込まれ広がっていく感じが、小説が研がれていくグルーブ感とうまく重なって、惹き込まれてしまう。
    その結末もとても映画的で、観ていて全く飽きることがありませんでした。

    そして、その後に観た演劇は、最初こそ、映画の記憶をどこかひきづっていたけれど、やがて、同じ設定の中に異なる世界が浮かび上がっていくことに心を捉われる。多くの役者さんが同じロールを演じていくのですが、そこには映画の世界とは異なる空気感や魅力があり、また、その顛末も演劇としての歩みや密度を持って舞台を満たしでいく。

    観終わって、よしんばタイトルやベースにあるアイデアが同じであっても、これらは異なる語り口によって編まれた別々の作品だと感じました。
    映画の風景におかれたものと演劇の空間に編まれたもの、なにか観る側に入り込んでくるものが異なっていて、でも、それが互いの作品のテイストにもう一段の深さを与えているようにも感じられて・・・。

    同じ役者たちが演じるものにも、映画だからくっきり見える感覚と同じ劇場空間だからこそ受け取りうるひとりずつの肌触りがあって.。
    映画と演劇の異なりを受け取ることで、それぞれの良さを再認識したりも。

    観る側にとっても、とても面白く得るものの多い試みであったと思います。

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    2014/08/09 13:24

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