殉職の夢を見る 公演情報 アフリカン寺越企画「殉職の夢を見る」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    対他存在であるということ
     かつてM.フーコーは「狂気とは純粋な錯誤だ」と言った。つまり健常者の精神世界と精神病者の世界は別物だと解釈したのである。かれの判断が究極的に正しいか否かを判断する立場に自分はいないので、正否の判断は保留するが、この言葉に出会った時、自分が衝撃を受けたのは事実である。このような経緯から、一応、フーコーの判断を正しいものと仮定して、話を進める。その前に、問題を一つ。我々、人間のレゾンデ―トル(存在意義)とは何か? である。(追記第一弾2014.8.9)(最終追記2014.8.12)

    ネタバレBOX

     神でも仏でも無い一介の衆生に過ぎない我らヒトのレゾンデ―トル等無い、と為政者は言うであろう。然し、本当だろうか? 自分は、寧ろ、悩むこと、真摯に悩み得ることにこそ、人間のレゾンデ―トルはあるのではないか? そう思っている。
     ここで、上に挙げた問題と我々の存在意義を賭けての問いに戻ろう。人間が真摯に悩むのは、恋に落ちた時とか、大切な人を失って自らを振り返る時、失敗をして、自分が生きていて良いのか否かについて迷う時、仲間・恋人・親友など大切な人を裏切らざるを得ない状況に追い込まれた時などであろう。普通の人は、倫理を抱えている。して良いこと、悪いことの判断の分かれ目を持っているのだ。だから、悩む。そして悩むとは、自らが、社会的な価値・倫理に背いている、或いはそうなのではないかとの疑念から生じるのである。この意味に於いて、人間とはまさしく社会的(対他的)な存在なのだ。
    従って、人間的に生きるということは、己に連なる総ての対他的存在と倫理的に径庭ない付き合いをすることに尽きる。そして、そのような付き合いが最も難しいケースこそ、今作が扱っている、コミュニケーション不成立という事例なのである。分かり易く言えば、接点がまるでない、と考えられる人々と如何に関わり得るか? という問いである。
     実際には、完全に共有部分が無いわけではない微妙なケースが扱われているわけだが、扱いを間違えば、命に関わる。(更なる追記は、以下)
     実際、アフリカン寺越扮する、警備員の青田は、自殺を本当にする可能性を唯一持っていた蛭田のメンタルを読み間違え不用意な発言をした結果、何とか上向きかけていた彼女の自殺傾向からの離脱を逆に端的に落ち込ませてしまった。それは、無論、青田の所為で、彼女の自殺願望が和らいでいたからである。彼女は裏切られたと感じたことで、決定的な一線を越えて、屋上から飛び降りた。青田の目の前でである。蛭田の死後、警備員室にやってきたかまってちゃんの一人、瓜生の指摘は、痛烈である。「一番大切なのは、命だろう!」と彼は言ったのだ。自殺を幇助しているという病院の秘密を明かしていた、あやめ病院の精神科医師、星川の追求も、難しい症例を相手に誠心誠意尽くして来た医師の心情を語って雄弁である。
     然し、今作に光が見えない訳ではない。どんなに共有しようとしてもコミュニケーションを共有できない者同士が、命を最上位の価値として如何に良くそれを全うするかについて真剣に追求し続けることの中に、矢張り希望があるからである。青田というネーミングは、未完成や若さをもその中に含んでいるだろう。その青田が、“死ぬ気で生きて行こう”と決意することで、彼の失敗を通しての成長と今作に込めた、作者そしてアフリカン寺越の明日を見ようとする意志を見た。


    7

    2014/08/09 07:23

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  •  寺越さま
    お盆でお帰りになっていらっしゃるのですね。
    ゆっくり、精神の休養もなすって下さい。
    鮒田さんへのご連絡ありがとうございました。
                        ハンダラ 拝

    2014/08/17 05:39

    ハンダラ 様
    鮒田さんにその旨伝えました。返信は来週頃になると思います。只今、帰省中なので。
    よろしくお願いします。

    2014/08/15 10:45

    ハンダラ 様
    遅ればせながら、追記のコメント読まさせていただきました。
    丁寧にありかとうごさいます。
    台本の件は鮒田さんにきいてみます。
    毎回ありがとうございました。

    2014/08/15 00:47

    アフリカン寺越さま
     おつかれさまでした。
    好意的な評が多かったようで何よりです。
    漸く、最終部分をアップしました。ご笑覧下さい。
    鮒田さんにもよろしくお伝えください。あ、それと、
    もし、鮒田さんがOKならば、今回のシナリオを
    メールに添付して自分宛に送って頂ければ
    有り難いのですが。というのも、ネット上の
    演劇批評、ワンダーランドに今作のことを書いて
    みようと思っているので、資料としてお送り頂ければ
    有り難いのです。どうか、ご検討下さい。
    自分のメルアドは、以下の通りです。
    neji@shirt.ocn.ne.jp
                               ハンダラ 拝

    2014/08/12 20:13

    ハンダラ 様
    毎回深いコメントありがとうごさいます。
    逆に勉強になります。

    深い…。

    2014/08/11 13:27

     寺越さま
    追記第一弾書いておきました。
                  ハンダラ 拝

    2014/08/09 13:07

    ハンダラ 様
    「観てきた」コメントありがとうごさいます。
    貴重な感想すごく勉強になります。
    次回できるようにがんばります!

    2014/08/09 09:22

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