Heavens ~夜と夜と音楽~ 公演情報 天幕旅団「Heavens ~夜と夜と音楽~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ふたりのアリス
    笑劇ヤマト魂で2003年に初演、天幕旅団で2009年に再演、そして今回の再々演。
    役者ひとりで何役もこなしながら目まぐるしく場面が変わる面白さはあるものの、
    同じような場面が何度も繰り返され、話の進展に時間がかかる。
    人形を使った演出や緻密な動線、衣装等に工夫があって感心した。
    天幕旅団の特徴は10年前からしっかりとあったのだと思う反面
    今の天幕の方が登場人物の造形がずっと深いという印象も受けた。

    ネタバレBOX

    囲み舞台の内側にもう一つ囲みがある二重構造の舞台。
    開演前から舞台上には転々と人形が置かれ、舞台下には小道具が準備されている。
    役者は演じている時も、舞台下で待機している時も、小道具を準備している時も
    いつもながら全て観客の前にその姿をさらすことになる。

    「アリス」と呼ばれるのは、スカートをはいているが
    「ボク」と自称する少年(加藤晃子)である。
    父親殺しの疑いで拘束された彼は、弁護士(渡辺望)にも心を開かない。
    そして彼は突然現われた兎(佐々木豊)に誘われ深い深い穴の中へとおちて行く。
    途中「アリス」と名乗る分身(渡辺実希)に出会うが、
    分身のアリスはハートの女王(佐々木豊)に囚われてしまう。
    「ボク」は本当に父親を殺してしまったのか?
    そして囚われたもう一人のアリスとは・・・?

    「不思議の国のアリス」をベースに、少年の心の奥深く入って行くのだが
    印象に残ったのは、裁判で検察官(佐々木豊)と弁護士(渡辺望)が対峙する場面と
    盗賊団の首領マザー(加藤晃子)が分身のアリス(渡辺実希)に語る場面。
    原作の雰囲気を出そうとすれば多くのキャラクターが登場するのは当然だけれど
    周辺エピソードが多くて、2時間弱の途中ちょっと集中力が途切れそうになった。
    韻を踏む台詞やハートの女王のキャラは面白かった。

    もうひとつ加藤晃子さんの台詞が、例えば落下する時の情景描写や
    記憶を辿るところで語尾が聞き取りにくい事があった。
    繊細な、静かに語るところだが、主人公の心理に迫る部分だけにちょっと残念。

    定番のアリスの衣装を、二人のアリスに対照的に配したところが巧み。
    袖やソックスの色など“ふたりでひとり”のイメージがとても上手く出ている。
    アリスが「ボク」と言うところも違和感はさほどなく
    むしろ加藤晃子さんの髪型は、これまで私が見た中で一番女の子っぽかった。

    照明のタイミングが素晴らしく、舞台をドラマチックに盛り上げる。
    ダークな感じはやや薄いが、天幕旅団の原点としての要素が満載の作品。

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    2014/07/13 04:02

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