満足度★★★★★
自分はとても好き
アングラというと現代口語演劇全盛の今はちょっとダサいというイメージかもしれないけれど、
それは単にパッとしない人たちがパッとしない作品を作ってしまうことが多いだけなんだよなぁ・・。
アングラはきちんと作ればカッコイイよ。
ただし湿っぽくならないように。
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少なくとも観るだけだって、つまんない服着て代官山歩いてるよか、
観劇帰りに血糊ちょっと残ったまま帰る方が断然イカしてるんじゃないか?
血糊ちょっと残ったまま電車乗ってたって、
少なくともホームレスの人に臭いから降りろって説教してるサラリーマンのオッサンよりか
全然人間的だと思う(縄張りかっつの
自分は良いと思うんだけど。
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その当時は最先端でも、今は見慣れた日常。
形だけ真似してもダサくなるのが当たり前。
別に再現するだけならお金とって見せるほどのものでもないんだよなぁ・・YOUTUBEにアップする程度で・・。
そもそも口語演劇を作れば最先端かっていうと、そんなことは無いんだよなぁ。
ダサい奴の作る作品はマームの真似しても所詮時間潰しでしかないんだよなぁ。
廻天百眼は結構前から、すべてではないケドちょくちょく観てるし、岸田作品も読んでいる。
その上で言うと、今回の作品はとても良く仕上がっていたと感じた。
作品自体は、何よりとてもシンプル。
役者の動きを生かすために戯曲があると言うか、
役者たちが遊ぶための玩具が戯曲。
・・うん、それでいい。
玩具にしてバラバラに引きちぎってしまうくらいで構わない。
岸田作品はベケットよりは寛容なんじゃないかと思う。
同じ位優れてはいるが。
いや、正確に言うと深いところで結びついている。
老いらくの生についての憧れがどこかに秘められている。
劇中に出てくる政治的な要素はより表面的なモノのようにも感じる。
観客席の最前列にいる女性たちも含め、役者の若い女優が
若さなんて不要と言う言葉に共感していたように見える。
これって、とてもシュールなんじゃないかなぁ。
そして今の多くの若い女性の気持ちを代弁しているんじゃないのか。
日本において、女性の若さと言うのは最強の道具であると同時に、
自分たちを傷つけ血を滴らせる刃でもある。
それは、今も昔も変わらない。
いや、むしろ消費社会の発達した今の方がその被害・負担は大きいかもしれない。
男性の読み手にとっては、
過去の政治的背景を濃厚に反映した伝奇ロマンではあっても、
現代の若い女性たちにとっては、
生涯女性としての血を滴らせた、
もうこの世にはいない大先輩でもある。
若さなんて不要。
ならいっそ、人目につかないところで枯れていたい。
逆説的であると同時に美しい詩だ。
女性にとって、永久に若くありたいと言う気持ちと、
瞬時に枯れ果てたいという渇望は
正反対ではあるが同じところから来ているんではなかろうか。
ロリコンだらけの日本男性たちのただなかで。