満足度★★★★
妖しい世界を堪能!
女優主体の役者たちが和装をして繰り広げる、“昭和猟奇浪漫”ともいうべき妖しい物語を堪能。
劇団員の知り合いなのか熱烈なファンなのか、前方席にはセーラー服姿のうら若き女子たちがスシ詰め状態で陣取り、熱気ムンムン(絶滅語)のなか公演はスタート。開演前の物販タイムではセーラー軍団のお目当てである美しき女優たちが元気な口上とともに威勢よくグッズを売りさばき、このノリのまま本番に突入するのかと思いきや、役者陣は幕が開くなりモードを切り替え、修辞を尽くした理生流のきらびやかでエロティックな長ゼリフを自在に繰り出し合いながら上述の如き妖しい劇世界を醸成。丸尾末広氏の漫画を彷彿させる退廃的で倒錯的なその世界に、氏の漫画をそのむかし愛読していた当方はグイグイ釣り込まれた。
このなまめかしい劇世界を構築したのが平均年齢24歳の若手集団だなんて、にわかには信じがたい。。。
ただ、その世界は完全なる作り事の世界。虚構性が強すぎるあまり我々の生きるこの現実との接点が感じられず、閉じられた耽美世界を万華鏡を覗くが如くに楽しんでいる感覚にとらわれ、その点に物足りなさを感じたことも率直に記しておきたい。
満点にしなかったのはこれも一因。
なお、男役の大半は女優陣が男装をして演じています。