満足度★★★★★
素晴らしい傑作!
Truth exaggerated may be falsehood.
リリアン・ヘルマン『子供の時間』を,阿佐ヶ谷で観た。とても良い演劇だった。スピード感あり,心理描写が卓越していて,たいへん良いものだった。
ドビー寄宿学校には,美人教師カレン・ライトがいた。結婚も決まっていた彼女には,創設以来の無二の親友マーサ・ドビーがいた。彼女は,どうも男には縁がないようだ。むしろ,カレンと毎日同じものを見て,同じ作業をし,生活をすることが唯一の幸せである。マーサは,どこか変なのだ。女性なのに,カレンしか見ていないのだ。
子供というものは,動物的感がさえている。だから,このことに大変心を悩ます。一番のお転婆むすめメアリーは,カレンと悉く対立する。あいつは,自分ばかりしめつける。これじゃ息もできないじゃないか。こんな化けものみたいな学校,おばあちゃんに言いつけてつぶしてやるんだ。カレンは,世間知らずで,このような意図になぜか気がつかない。
あるとき,メアリーは,ロザリーが,外出するのに,黙って友達の「飾りもの」を拝借した現場を目撃する。ようし,あいつは,この弱みで今後アタシの子分だわ。いざとなったら,なんでもあの子のせいにしてしまえばいい。メアリーは,ロザリーをうまく利用して,カレンと,マーサがレズであった!というデマをばらまく。
この事件を,ティルフォード夫人が膨張させてしまう。やがて,カレンとマーサは,裁判において負けていく。彼らは,学校経営において,平気でほかの同僚を追い出すような自分勝手なひとたちだったので,証言を拒まれてしまったのだ。
カレンは,恋人との関係もギクシャクしていくのに気がつき,別れを口にする。ここにいたって,カレンにはさほどそのような感情はなかったかもしれないが,アタシには,結構そのような不自然な感情が確かにあったのかもしれない・・・と,マーサが反省をすることになる。マーサは,結局自殺するのだ。