桜の森の満開の下 公演情報 千賀ゆう子企画「桜の森の満開の下」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    俳優も客も人間
    語り手たる俳優に黒子と楽師、その他には舞台上に誰もいない、実質的な一人芝居。

    一人芝居は演者をも観客をも緊張させ、場を極限まで張りつめさせ、そこではちょっとした破綻が命取りとなるが、俳優も観客も人間、俳優も時には過ち、客は客で生理活動に伴う物音は立てざるをえず、完全無欠に劇が運ぶことはかなわなかった。

    一人芝居の難しさを痛感した次第。

    ネタバレBOX

    岸田理生が舞台用にまとめ直した安吾作の話を、俳優の千賀さんは随所で動きを交えながら時に声色まで変えて抑揚たっぷりに語り、黒子は彼女を適切に補佐、楽師は妖しく深遠な音色を放つ和製打楽器の数々で演じ手を盛り立てていたが、こうして舞台化されることであの捉えどころのない小説がストンと腑に落ちるのではないかという密やかな私の期待は結果かなうことはなかった。


    それはネタバレ外に記したことが原因ではなく、ひとえに原作小説それ自体が持つ説明不足によるものだろう。


    だからといって、過剰な加筆により話を合理化しようものなら原作小説の醍醐味である謎めきが失せてしまう。


    ならば、山賊、その妻、そして女中にそれぞれ役者をあてがうストレートプレイ仕立てにし、妻が興じる“首のままごと”のくだりをはじめ小説で視覚的に描かれている場面を美術家と道具方が腕をふるって極力リアルに表現していたならどうなっていただろう、少しは“腑に落ちた”だろうかと、そんな興味が湧いた。

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    2014/06/26 00:47

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