満足度★★★★
細かく、描写力
「思春期」の淡く、愉快で、誰しもが心の原典として所持している、少年期しか味わえない記憶を呼び覚ます。
Aさんが台詞を放つ、Bさんが台詞を放つ、という単調さはない。
常に、役者の表情や、ナチュラルな その反応にもダイヤモンド級の価値がある作品だ。
「卓球部強化合宿」における「現役高校生とOB」という関係。
恋心を打ち明けるに適度な距離の関係であり、いわば奇妙な視点から描く「黄金郷」だ。
玉井自身「細かさ」を公言してはばからない。彼の次世代メソッドは、理研の顕微鏡をはるかに上回る精度で、爆笑を呼ぶ。それも、リアリティに裏付けられた確かな「共感力」がある。
「恥ずかしい」という10代の初々しい感情が、巧みな視線、意図した沈黙によりターゲット化されている。
じつに見事な舞台だ。
玉井氏は青年団を変革していく男かもしれない。