出演陣は華美だが、「脚本破綻」している時点ですでにダメだ
下品。
私は下ネタ好きである。しかし、この舞台=『逃亡者の館』は人を不快にさせる生々しさのオンパレードだ。誰ひとり笑っていなかったことが その証拠だろう。
・サスペンスを謳いながら「脚本破綻」している。
『逃亡者の館』に部外者が侵入すれば、管理人へ通報するのが当然のストーリーの流れだろう。
また、サスペンスの柱は「過去逃亡者の末路」にあったと思う。再逃亡者の出現でそれが一部明らかになったのに、「また あなたですか」(管理人)という そっけない台詞は何なのだろう。
・パフォーマーをキャスティング。そして、初級のジャグリングもどきを10秒間 披露させる。失敬にもほどがある扱いだ。私が演出家なら 彼女に「ジャグリング・ステージ」タイムを提供したことだろう。
OPに「パプリカ」という架空アイドル・ユニットの「歌ステージ」が あったのに。
わざわざミュージカルの殿堂で公演し、音響設備完備の舞台装着を用意したわけだから、多様なエンターテイメントを追求するべきだったのだ。
・気になった黒塗りチラシ。戦後日本の教科書のよう。
照明スタッフのクレジットをマジック・ペンで一枚、一枚、線引きしたようだが、醜悪であったのは音響スタッフだ。
「感動ソング」挿入のタイミングも早すぎ。
・魅了したのが影の主役・団 時朗である。他にも渋い演技をする役者がいた。「パプリカ」妹の軽々しい、およそ役の年齢を想定しない台詞遣いからすれば、実に廃墟ビルのような存在感であった。