満足度★★★★
松本雄吉ワールドに陶酔/約120分
松本ワールドを初体験。
松本雄吉という人はこういう演出をするのかぁ…
スタイリッシュで抑制を効かせた演出が緊迫した劇世界を作り出し、登場人物のセリフの一つ一つ、一挙手一投足がビンビンと胸に響いて、最後まで前傾姿勢のまま夢中で観入っってしまった。。。
話の鍵を握る三人の男たちそれぞれの狂気が劇世界を食い破るようにして客席までひしひしと伝わってくるのも、この抑制の効いた演出のゆえだろう。
むろん、狂気を表現する俳優陣の演技も素晴らしく、ことに、高木直一郎のイカれっぷりを生々しすぎるほど生々しく表現した某熟年俳優の鬼気迫る演技は圧倒的!
主人公ジェイコブのやさぐれた生活、鬱屈した心象を描きながら、時にハッとするほど美しいシーンが挟まれるのも効果的。
照明や音響、そして構図の妙が作りだすそれらのシーンの妖しさには息を呑んだ。