期待度♪♪♪
サバイバルな早稲田にあって
早稲田に掃いて捨てるほど溢れる劇団の多くは、良くも悪くもプロ根性に溢れていて、とにかく、なりふり構わず、他人を押しのけても、自分たちを売り込もうと、必死だ。それは、今の厳しい世の中を、必死で生き抜こうとする意志でもあるのだろうけれど、そういう、世の中との距離が離れていない態度は、世界を切り取る演劇の立場として、危ういものを含んでいると思う。
そんな中、このチラシは、とっても謙虚に、そして綺麗に、構内の掲示板に貼ってあった。チラシ自体は一種類なんだけれど、その、掲示の仕方に、工夫があるのだった。
僕が剥がしてきたのは、A4サイズの、トレーシングペーパーみたいな半透明の紙に、テープでとめてあるものだったけれど、学内を歩いていると、他にも、掲示の仕方に色々なバージョンがあって、なんだか、楽しかった。どれをもらおうか、少し、悩むほどだった。
あらすじを読む限り、チラシの掲示方法と同じく、なんだか距離感のあいまいな、純然たるファンタジーのようだ。現代にあって、ファンタジーを描くことは、少しリスキーだと思う。自己責任のサバイバル空間は、ファンタジーだけでは、生き残れない。かわいいチラシたちも、ガムテープで無粋にベタベタ貼られた、大量の、他劇団のチラシに覆われてしまっていた。
でも、ファンタジーを、というか、現実と距離を取る想像力を、完全に放棄した感のある、早稲田の多くの劇団よりも、僕は、ゆとりを感じる、こちらを、観てみたいな、と、思った。それが、モラトリアムなのか、サバイバルへの処方箋なのか。楽しみにしています。