満足度★★★★
独特の美意識
シンデレラをベースにしたダンスを中心としたパフォーマンス作品で、ビザールでありながら品のある独特の美意識が徹底されていて、魅惑的でした。
人工的なパースのかかった白い両袖の壁に沢山の引き出しがあり、その上にハイヒールが並べられていて、下手奥にはDJブースがあり開演前からレコードを回している中、シンデレラ役を演じる西島千博さんが客席を掃除して回るところから始まり、男性ダンサーが演じる2人の姉や夏木マリさんが演じる継母、羊(?)の被り物を被った王子等、奇妙なキャラクターが登場しつつ原作通りに物語が進み(シンデレラが残したのはガラスの靴ではなく、ウイッグという設定でしたが)、終盤に嫉妬をキーワードにしたオリジナルの展開があり、独自性がありました。
濃い化粧、女装、キッチュな衣装といったLGBTカルチャー的なアクの強い表現が多く、その様なテイストは日本人がやると下世話な感じになりがちですが、そうはならずにスタイリッシュにまとまっていて格好良かったです。
振付の井手茂太さんならではムーブメントが多く用いられていて、横一列に並んで前に歩いてくるシーンや、気だるい雰囲気でステップを踏むユニゾンが長く続くシーンが派手な動きではないものの印象的でした。
舞台の音楽にしてはかなりの大音量でしたが、音響システムが良くて威圧感が無く、気持良かったです。
使われる音楽もテクノ、マンボ、現代音楽、ロック、ジャズと多様でセンスの良さを感じました。夏木マリさんのスキャットの歌唱もセクシーで魅力的でした。