ビースト・スピリットが衝突する殺陣裁き
「鬼は外。福は内」「鬼に金棒」「来年のことをいうと鬼が笑う」
「鬼」は広辞苑のページ数を ひたすら増やしてきた。
空想上の未確認生物に「河童」も忘れてはならない。キュウリを巻いた「河童巻き」の由来であり、大手回転寿司チェーンの看板にもなった水陸両用の種族だ。
「鬼」や「河童」のごとく真っ赤な人間や緑色の人間が目撃され、それが「風俗化」した という説も成立する。ただ、いずれも、特に「鬼」に関しては、「鬼畜英米」のように特定の集団を畏怖し侵略する、戦意高揚としてのスローガン性も あった。
中世ヨーロッパ社会に目を向けよう。
市民、教会による「魔女狩り裁判」が横行したが、ターゲットは「鼻の高い未婚女性」である。こちらも「鬼」と同じくファンタジーの部類。 迫害勢力はその未知なる「ウルトラ・パワー」に立ち向かう義務感、自己陶酔に溢れていたのだろうと推察される。
舞台『鬼泪』は広辞苑によるところ「鬼の目にも泪」の略称らしい。
第一に、殺陣はビーストスピリットを対立する高速かつ、無駄のないテクニカルだった。江戸時代の殺陣だと「しきたり」を維持しなければならない。
その点、『鬼泪』は「大和朝廷」と「吉備国」の総力戦といった模様。近代兵器なき近代戦争であった。
※ネタバレ追記あり