ルーシアの妹 公演情報 ライオン・パーマ「ルーシアの妹」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    絶妙な采配で笑わせる、RPG系 イチゴ大福
    前説で登場した加藤 岳仁が、「しばらく時間が ございますので、本番中に携帯電話が鳴ったらどうなるか、をコントにしたいと思います」を提案し、即興設定の それは始まった。


    加藤 岳仁は どうやら本編においても、「この国のエンターテイメントを支える人間」らしい。
    シンドバッド『千夜一夜物語』とは違うが、前説を担当したリアル・タイムの男性、つまり部外者が「架空の王国」という絵本を訪ねるかのような冒険はエキサイティングである。



    翻訳劇の文語体はシックであり、ルーシア役の前田 無有子は そのアクセントに完全に順応していたように思える。『ライオン・パーマ』のコミカルなアクションは言うまでもない。

    「大福」という古臭い和菓子が、「イチゴ」というフレッシュな果物を内包する形状であろうか。そう、「イチゴ大福」だ。


    RPG(原作はない)ではある。しかし、セットは簡素。観客も「落語シチュエーション力」をフル稼働しなければ、この『ルーシアの妹』は 小規模だ。


    役者を一人挙げよう。それはアリ役の柳瀬 晴日である。彼女のことは3年前から存じ上げている。多摩美術大学在学中は『宗教劇団ピャー!!』に所属、相当 スキャンダラスな役(本人役、というか台詞があったのかさえ不明だが…)も演じた。

    『ルーシアの妹』では少女アリを、明るく、内面的に、あっさりと演技する、アン・セパレーションであった。


    私は思う。


    柳瀬はアフレコに適任だと。

    アキバ系・アニメーションは もちろんのこと、洋画の吹き替えにも ふさわしい独特な美声だ。

    LIVE活動も するそうだが、柳瀬はアフレコ声優に推薦できる人物である。

    ネタバレBOX

    「世の中、正義だけでは回らない。その“ひずみ”の役割が◯家だとは 思ってはくれないだろうか」


    文語体をディフォルト化するのではなく、そこに『ルーシアの妹』のメッセージを集約し、「寝技」(田原総一郎 命名)政治哲学すら肯定してしまう正直さには好感をもった。


    私はピクニックの場面が「イチゴ」の赤い果肉だったと考える。


    グッドマン司令官(橘本 一郎)「ふざけた顔をするな!」


    アントーニオ(加藤 岳仁)「あの、これがふざけた顔なら、これから ずっと ふざけた顔なるんですけど…」


    グッドマン司令官「はっはっは、ジョークだよジョーク。はっはっは」



    観客は「前説シンドバッド」加藤の側にたつ。「特殊部隊」というコミュニティ内で奮闘する、その「異文化」は、笑の宝庫である。


    このギャップは「イチゴ大福」のそれなりに合う感覚と同じだ。

    0

    2014/05/19 22:57

    0

    0

このページのQRコードです。

拡大