見よ、飛行機の高く飛べるを 公演情報 劇団青年座「見よ、飛行機の高く飛べるを」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    青年座の女子力を実感
    安藤瞳さんを、初めて、研究所の実習公演で拝見した時、この方には、この作品がお似合いだと直感めいたものが芽生えました。

    それ以来、いつか安藤さんが、のぶを演じて下さる日が来ることをずっと心待ちしていたので、今回の観劇は心底楽しみでした。

    期待通り、安藤さんののぶはピッタリでしたが、他の女子生徒達も、それぞれ、役柄にドンピシャリのキャスティングで、いつの間にか、青年座は、若手女優さんの宝庫になったなあと実感しました。

    青年座は、私と同い年。演劇評論家だった亡父が、学生時代から、東恵美子さんと親友だったため、創立の時には、ずいぶん助力を惜しまなかったと、幼い頃から聞かさせて育ったので、創立60周年の公演を、息子と同期生だった安藤さん主演の舞台で、観劇することができて、個人的にも感慨深い思いがありました。

    のぶは、永井愛さんのお祖母様、初江は、市川房枝さんがモデルだと伺っています。どこまでが、史実で、どこからが永井さんの創作かは知る由もありませんが、選挙権を得てから、市川さんが政界引退されるまで、ずっと投票してきた身なので、この芝居の中の初江のありかたに、一々頷く部分が多くありました。

    たまたま、今日は、首相の意図的な図入りの集団的自衛権の解説などが報じられ、この芝居の時代に逆行しそうな世間の雰囲気に、観劇中も、心がざわつく不安がよぎりましたが、この劇団の役者力のお蔭で、舞台自体は、終始ワクワクと観ることができ、3時間の上演時間もあっという間に感じました。

    ネタバレBOX

    この作品は、以前、加藤健一事務所の研究所の卒業公演で、初見したのですが、その時も、作品の深さに感動した記憶が残っています。

    今回は、演技力に何の心配もない、青年座の役者陣の好演で、なおのこと、作品の描く、女子学生達の青春の輝きと挫折が、ダイレクトに胸に沁みる名舞台になっていました。

    安達先生の遠藤さん、山森の黒崎さん、小暮の高橋さん、マツの尾身さん達の、夜の女子会のメンバーも、本当に各人大変魅力的な役作りでした。

    そして、主役のお二人、安藤さんと小暮さん、共に、明治の女性の気概を思う存分、舞台に再生してくださいました。

    是非また近い将来、再演して頂きたい舞台です。

    でも、ただ一つちょっと残念だったのは、客席を占めていた、多くの高齢客が、その年齢にも関わらず、何故か、全く時代背景に無知な方がほとんどだったようで、大逆事件や「青鞜」のことも、田山花袋の「布団」も、何のこっちゃい的にご覧になっている様子で、この作品の意味合いを解しかねていらっしゃる風情だった点でしょうか。

    この芝居を観て、改めて、市川さんは、初志貫徹の女性闘士だったんだなあと、感動してしまいました。
    実際の永井愛さんの祖母様は、新庄先生のモデルの男性と結婚されたのでしょうか?そんな余計なことまで、気になる程、各登場人物が、リアルに舞台上で生き生きしていました。

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    2014/05/16 01:55

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