役者のエネルギーに驚き!
One for All.All for One.
ラグビーの有名な言葉は、芝居にも当てはまるかもしれない。
そういう意味で言うと、この芝居は
One for All的な要素が強かったように思う。
役者の個性を前面に打ち出すよりも、
芝居全体の完成度を重要視している感がある。
特に、結末シーンの奥行きある舞台を目いっぱい使った
俯瞰の絵は現在と過去がシンクロし美しかった。
それまで紡いできた物語が一気に結びつき、心打たれた。
そうした傾向の1つの答えは、カーテンコールで分かった。
何度目かに主演陣に連れられてきたのは、蜷川幸雄だった。
なるほど、彼の芝居だったか!
ただし、僕はAll for Oneの方が好きなのである。
主演3人がそれぞれ魅力的だっただけに、
アイドル映画や歌舞伎まではとはいかないものの、
見せ場的シーンが見たかった。
多部未華子には、相変わらず末恐ろしさを感じさせる。
無色のようでいながらクセはあるし、
大人しく優等生的ように見え、得体のしれない感を秘める。
木村文乃は、TVドラマやこの芝居のポスターでは、
憂いを帯びた令嬢的の印象を受けていたけれど、
実際はニュートラルな感じのすっきり美人さんだった。
令嬢的役の木村文乃をどこかで見てみたい。
三浦涼介という人を僕は知らなかったのだけれど、
頼りなさと男らしさを演じ分ける色気ある俳優さんだった。
それにしても、三幕構成で幕間も含め4時間は長い。
三幕では、途中退席の方もちらほら、
5時ちょうど頃には時計のアラームは鳴るわ、携帯のアラームは鳴るわ・・・・・・
ただ本当は5時15分に終わるものが、結果的に5時半となったのは、
スタンディング・オベーションで、
カーテンコールが繰り返されたからでもある。