満足度★★★
巧みな構成
ガラコンサートと小さな一幕オペラを組み合わせた公演で、前半と後半に繋がりを持たせた趣向が洒落ていました。
第一部はオペラのアリアや歌曲を並べた名曲プログラムでしたが、ただ歌うのではなく、第二部のオペラに備えてリハーサル室に集う歌手達という設定のコミカルな芝居仕立てとなっていて、第二部で小道具として用いられることになる携帯電話や服が巧みに用いられていました。
劇団四季の『オペラ座の怪人』でファントムを演じている大山大輔さんが、ファントムの歌を少し歌ったのも楽しかったです。
第二部はメノッティ作曲のオペラ『電話』で、携帯電話を床に環状に大量に並べた中で上演されました。本来出演者は2人だけなのですが、默役としてもう1人が舞台上手の壁で仕切られたスペースにいて、配達屋や電話の相手に姿を変えながら演じていて、良いアクセントになっていました。日本語訳での上演で、現代にそぐわない設定の部分は表現を変えていたので、分かり易かったです。
日本のオペラ演出家ににありがちな、不必要な小芝居や子供っぽい可愛らしさの表現が気になる場面もありましたが、ユーモアに富んだ演技・演出で楽しめました。オペラ歌手と違って演技をする機会はあまり無いと思われるピアニストの吉田貴至さんの演技がとても良かったです。