満足度★★
土地を巡る儀式
土地について自身との関係を描いた作品で、テーマやそれを描く手法に現代性を感じ、考えさせられる所はあったものの、距離感を感じてしまって入り込めませんでした。
客は入場の際に会場内にある物で気になる物の名前を紙に書き、その物に貼る様に促され、主宰の萩原さんの話しから始まり、役者4人がスーツケースを引いて現れ、役柄ではなく本人として舞台として話して出身地までの距離を書いた紙を置いてた後、以前は浄水場であった現在の新宿西口エリアを舞台にした2人の幼馴染みの女性と猫の物語が展開しました。
途中で新宿西口エリアにまつわる単語を記した紙を貼って行った後、全ての貼り紙を剥がして中央に集めて上から土を掛け、萩原さんが舞台に現れて跪き、役者達によって頭に土を掛けられ、土地と改めて関係を結ぶことイメージさせました。
現実と物語世界の重ね合わせたり、登場人物を直接的に演じるのではなく伝聞型で語ったり、ほとんど会話が無くモノローグだったり、話す時の手の仕草をオーバーに行ったり、同時に異なるレイヤーの台詞が進行したりと現代的な手法が多く用いられ、独特の緊張感が出ていましたが、内容よりも形式が目立っている様に感じられました。
アンチドラマ・アンチクライマックスを意図した作りとなっていましたが、物語的な盛り上がりが無い分、他の要素でもっと引き込む趣向が欲しかったです。