満足度★★★
酒井はなさんソロが圧巻
『Boy Story』(ユーリ・ン振付)
香港の中国への返還をモチーフとした作品で、明確なストーリーは分かりませんでしたが、中国の皇帝を思わせる真っ赤な衣装とイギリスを象徴するかの様な黒スーツ姿の対比が印象的でした。ハワイアン(?)や日本のフォーク等、選曲がユニークでした。
『The Second Symphony』(ウヴェ・ショルツ振付)
シューマンの交響曲第2番の第3楽章に乗せて2組の男女ペアが青い背景に青い衣裳で流れる様に踊る姿が美しい作品でした。ムーブメントも構成も古典的で、男性ダンサーの目立つ部分は少なくサポートに徹していて、現代的な要素が感じられないのが残念でした。
『Castrati』(ナチョ・ドゥアト振付)
去勢することによって大人になってもボーイソプラノの声を保ち続けた歌手をモチーフにした、「男らしさ」について考えさせられる作品でした。黒のワンピース状の衣装を着た8人が全身肌色の質素な格好の男をいたぶる様子が描かれ、はっきりしたストーリーは無い感情表現がはっきりした振付で、素早くてダイナミックな動きが多用され、ミュージカルのダンスの様な雰囲気もありました。
『Mopey』(マルコ・ゲッケ振付)
元々は男性ソロの為の作品を初めて女性が踊るとのことで、酒井はなさんのダンスは男性的な力強さと女性的な華やかさが両立していて、引き込まれました。コミカルな雰囲気がある細かい動きが多く、半分以上の時間は客席に背中を向けていて、ストレートに感情を訴える様な振付ではないものの、心を動かす不思議な魅力がありました。ロウソクの火を消すかの様に息を吹いて暗転するラストがユーモラスでした。