期待度♪♪♪♪♪
興味深く、そしてこの上なく怖い公演
SNSでこのサイトを知り、『赤異本』舞台が出ているというので覗いてみたら……黒木あるじさん、丸山政也さん、黒史郎さん!? そうそうたる怪談作家の方々が名を連ねた口コミレビューに驚いた。やはりそれだけこの公演が注目を集めているのだと改めて思う。
そもそも『赤異本』は刊行された当時からそれまでの実話系怪談本の常識から外れた本であり、本当に怪異を呼ぶ!と話題になっていた。それは黒木あるじさんもコメントに書かれているとおりである。その本が舞台になると聞いて、本当に驚いた。あの有名な実話怪談「生き人形」も人形劇『呪夢千年』から生まれたように、観客の前でリアルに演じられる演劇は、その舞台も舞台裏も怪異を招きやすい場であるということを聞く(舞台芸能の起源は神事である)。今回はその舞台で、実話系怪談そのものが公演されるというわけだ。この二重構造。並々でない関心を持たざるを得ない。そして、関心を抱くと同時に、『赤異本』がどういう本かを知る他のレビュワーの皆さんと同様、怖いと思ってしまう。怪異の情報を伝える側とそれを受け取る側が同じ空間にいて、しかも、怪談語りではなく、役者によって擬似現実として演じられるのだから。
私は「霊魂」や「因縁」に実体は無く、それはただ自らの心の中にあるものだと思っている。しかし、心の中にあるものにこそ現実に作用する力がある。この公演を観るときは、心の中の誤ったものに魅入られて自らを危うくしてしまわないように気をつけないといけない。