この時代に求められる「1対1」の真剣勝負とは…
「ミスターXは誰なのか?」
『売春捜査官』(作・つかこうへい)は4名で構成する舞台ですが、2013年入団組の離脱により、『劇団EOE』役者陣は2名しかいませんでした。
そのため、史上初という劇団オーディションを開催し、客演に迎えたのが伊織さん です。
この陣容だと まだ 一人 足りないわけですが、「では、誰が出演するのだろう?」とファンの間は疑心暗鬼が拡がっていました。
『劇団EOE』主宰を務める真生氏が 万を辞して 御出演したファン感謝デーは、”養成所スタイル”を捨てる いわば「総力戦」です。
[本番前の宗教儀礼?]
「10分間、人が変わります」と観客へ説明した真生氏。
一体、何が行われる というのでしょうか。
会場中に流れる大音量のロック調BGM。
すると、出演者4名が「シュッシュッ…」と力強く、息を吐き出しました。
この動きは「モチベーション法」ですね。
『絶対エース』平澤氏は「意識を深める状態にします。決して、宗教団体では ありません!劇団です!」と語り、観客を笑わせました。
でも、「呼吸法で意識を深める方法」は、科学的に解説しますと血中酸素濃度を低くすることなのです。これを仏教用語で『瞑想状態』と呼びます。
私は、二人一組となって“大将”真生氏と向き合った際に18歳 佐々木氏 の顔から涙が零れ落ちる場面を見逃しませんでした。
『週刊EOE』(『劇団EOE』を追うメディアです)によると、この『売春捜査官』稽古中、佐々木氏は二度も“脱走”してしまったそうです。まるで『戸塚ヨットスクール』のような表現ですね(笑)
「お客様の前では辛い顔しちゃダメなんだよ」という鋼鉄の意見も あるでしょう。
「舞台至上主義」ですね。
その考えに対し、「いや、舞台裏を見せてもいいんだよ。製作する過程を お客様と共有したいんだよ」とする考え方が、『劇団EOE』=『週刊EOE』そのもの だといえます。
つまり、本番前の「モチベーション法」をファンに公開し、18歳少女(?)の美しい涙を 拝ませてくれること自体が「舞台裏を含めた、『演劇活動』」なのです。
現代に暮らす日本人であれば、体育会系ともいえる こうした「目と目を合わせる」ホットな関係に浸る機会がありません。なんだか羨ましい関係です。
[衣装、照明が 不足したから わかった!大物劇作家『つかこうへい』の構想力]
故・つかこうへい 氏。
彼は慶應学在学中に書いた『熱海殺人事件』でブレークします。
その当時、早稲田大学出身の劇作家・寺山修司氏が、今までの演劇文化を否定した『アングラ演劇』を立ち上げていました。
ところで、『ヘイトスピーチ』が2013年流行語トップ10に入ったことを ご存知でしょうか。
つかこうへい氏の『熱海殺人事件』は、土地の差別や、女性の苦悩を描くわけですが、「40年間経っても結局、変わらないんだな」という不都合な真実を気づかせてくれます。
今回のファン感謝デー公演、通常公演には ない特徴が…。
役者の衣装はおろか、照明も用意れていません。Tシャツにジャージ姿、劇場を照らすのは蛍光灯だけの空間は、文字通り『稽古場』に近い。
ここで、「照明って、劇場に備え付けられるんじゃないの?」という疑問がわきます。
たしかに、照明機材が完備されている劇場も ありますが、「レンタカー等で運び、設置(解体)作業をする」のが一般的な公演。
「1時間後に次の劇団が作業始めるから速やかな撤収を!」(真生氏」ー「ないない尽くし」でした。
しかし、演劇設備で逆風だったからこそ、「役者が放つ肉体エネルギー」「眼差し」「削ぎ落とされた役の本質性」を、観客側も体感できたのではないでしょうか。
「そこにいることが、『つか作品』を造った」のです。
[観客と歩む『劇団EOE』は変化の兆し]
開場中、キャストがふるまっていたのが“お鍋”“焼き鳥”でした。
極寒ですから温かい おもてなし料理は心に染みます。
佐々木氏から勧められたのにもかかわらず、前の方が「いいや」と断わった流れで「お腹いっぱいです」と社交辞令してしまったことを悔やんでます(笑)
『劇団EOE』ファン感謝デーに参加したのは“初”なので、この「振る舞い」が恒例か どうかは 知らない。
ただ、「ファンと歩んでいく」は随所に散りばめられている舞台でした。
そう感じたのが大山金太郎役・真生氏の 次の台詞です。
(伊織氏を)「客演に迎えるんじゃなかった!」
アドリブか台本か…。
今まですと「舞台に真剣に取り組む」姿が、試合中のスポーツ選手を思わせる特徴だったのですが、「舞台を おどける」、そうした柔軟性が発揮されたように感じます。
『劇団EOE』は「役者面会なし」を貫いています。(小劇場界の非常識ですね)
今回、兆しが見える“変化”とは、「舞台造りを通してファンと交流する」(『週刊EOE』も 役割)この劇団ならではの 触れ合い方です。
役者数わずか2名、主宰すら登場せざるをえなくなった『劇団EOE』。これから飛躍したい身としては現在、茨の道かもしれません。
ただ、客演・伊織氏の「内面から湧き上がった感情表現」は見事でしたね。「情熱社会派」としての未来を映し出しました。
今後も期待です。
2014/02/19 07:14
お早う御座います。
劇団EOE制作部の佐藤望です。
一昨日はお忙しい中、ご来場頂きまして、有難う御座いました。
また、書き込みも有難う御座います。
「週刊EOE」が提唱する劇団EOEの楽しみ方は
「点」の楽しみ方ではなく、「線」の楽しみ方です。
その公演に至るまで、その人間にどんなドラマがあって
その公演を迎えるか。
それを把握した上で、ご覧頂けると、より楽しめる作品が
劇団EOEの作品だと思います。
今回、そんな劇団EOEで、稽古場で毎日毎日格闘していたのが
佐々木だと思います。
18歳の女の子には、まだ荷が重かったかもしれません。
でも、彼女だったら、その状況を自力で打破できる。
劇団員一同、そう信じていました。
それを達成したかどうかは、お客様のご判断だと思います。
でも、そのことは今回の公演だけでの判断でもないような気もします。
今週末誕生日を迎える彼女ですが、
10代最後の一年は、成長著しい一年になると思います。
そんな彼女に今後もご声援頂ければ幸いです。