進化し続ける、TPD
「昨年の夏公演は、周りと衝突してしまう姿。でも、アンコール公演では“弱さ”を出せたらいいなと思って演技している」
平均年齢15歳の東京パフォーマンスドール(TPD)小林は終演後、次のような感想を語った。
最新映像技術を駆使した舞台×映像。
白を基調とする無機質な空間。
そこに、『シブゲキ!』前身の映画館時代、映写機も流していただろう映像を、“セットというスクリーン”へ映し出す。TPDが共演者だ。
TPDのパフォーマンスは、巷に形容される“アイドル像”を否定する洗練した動きが特徴であり、ユニット名にふさわしい都会的雰囲気。
「千秋楽まで成長できたらいいなと思ってる」
プロローグは毎回、同じ内容だ。
確かに、昨年の公演だと、「渋谷の地下に落ちた」その状況を、TPDメンバー自身も戸惑っているように思えた。観客はゲーム感覚で、バーチャルに、彼女たちの困り顔を観察していたのかもしれない。
だが、アンコール公演のTPDは、名作小説に触れてきた年季世代すら、メンバー同士の「試練」「友情」へ向き合わせ、新たな価値観を吸収させてあげることができる。そんな舞台だった。
客層は95%以上が大人の男性だ。もし、女性やシニア世代、子どもが その演技とパフォーマンスを目の当たりにすれば、スタイリッシュな世界に圧倒されるだろう。
『ダンスサミット』も、前半「バーチャル・ミステリー」と同じく、進化をし続ける。(一部と二部の落差は縮まった)
グレープフルーツはフレッシュだ。
そして、TPDは木の枝に ぶらさがった、生育中のグレープフルーツである。
モダン衣装、身体的なキレを重視した振付け、一点を見つめた笑顔が、劇場を明るく照らす。
※ネタバレ箇所
舞台×映像の融合は、観客にとっても、TPDに とっても、高速で進んでいた。