満足度★★★★★
芝居は進化するものを実感
1/25(日)夜公演 スタジオ空洞 ★千秋楽
最前列 中央
暖かい日だったという報道とは裏腹に、
風が冷たくて凍えそうな夜でしたが、
スタジオ空洞の中は、千秋楽公演の熱気で包まれました。
『かなわない夢ガール』は「叶わない夢がある」と掛けていると思い込んでいましたが、
その意味よりも、違う意味の方がメインだったことを理解しました。
かなわない(なぁ)=まいった(なぁ)≒(そこまでやるなんて)すごい≒ありえない
そんな
「夢(を追いかけた)ガール」=「夢(を叶えちゃった)ガール」
でした。
その夢とは…
「遊園地になりたい!!」
遊園地を作りたいではなくて、「なりたい」です。
いつも忙しい、医師である両親が連れて行ってくれたドリームランド。
その楽しさに魅せられて、
その感激が突き抜けて、嫉妬に変化して、
『わたしの方が、もっとみんなを楽しませられるもん』と発奮します。
「楽しかったねって言ってくれるのがいい!」
恋愛の話しでよく聞く「愛したい」と「愛されたい」の比較のように
「喜びたい」と「喜ばせたい」や
「楽しみたい」と「楽しませたい」がありますよね。
わたしも「喜ばせたい」「楽しませたい」派です。
だから、タマエちゃんの気持ちに共感できます。
2回目の観劇は、やはり気づくものが多くて…
これだからリピート観劇がやめられません。
小学生のタマエちゃんが眠い目をこすって九九を勉強するとき
飲んでいたのは、やはりコーヒーでした。
そうは思ったものの、小学生だからということで、
勝手に紅茶かミルクということに脳内変換してしまったようです。
タマエちゃんが「プリティ・アキ」に夢中になって成績急降下した後、
衣装をガタガタ縫って着るのですが、
「プリティ・アキ」の衣装が「プリティな柿」という面白さ。
使われている歌がまた粋で可笑しいのがたまりません。
オープニングはスピッツ?
1番のお気に入りはタマエちゃんが男に目覚めてイケイケ・ギャルになった時の
「あの娘ノコノコ…」というラップ。
あれ誰の曲なんだろう?
もう頭に残って、グルグル回っています。
そして、タマエちゃんの告白を受けて、お母さんが歌う安室奈美恵の 『Chase the Chance』。
もう爆笑です。
あ、「夢」の作文の時には相川七瀬の『夢見る少女じゃいられない』もありましたね。
内容と選曲のセンスに脱帽です。
作・演出の齋藤陽介さんの芸の細かさに感心します。
幼なじみのサトシのやんちゃさを表現するのに、
上履きのかかとを踏んでいたり、
学生服の乱れた服装であったり。
タマエちゃんと、ライバルのキリコの凸凹も可笑しいですね。
座っているキリコ(陣内ユウコさん)と、立ってるタマエちゃん(笠井里美さん)の
視線の高さがほぼ同じって。
陣内さんは美人なのに突き抜けちゃっていて素敵です。
ガールズ・バーの先輩アズキさんでは、
小劇場の女優がアルバイトしているという役柄で、
男性依存で生活している告白を、鏡前で鼻毛を抜きながらするという豪快さ。
その演出にフルスロットルで応えてみせます。
その長身とキリッとしたマスクで男役もはまっていました。
これだけジェットコースターのような面白急転人生を送ったタマエちゃんの物語が、
お母さんへの告白シーンで、可笑しいのにキュンとなります。
こんなぶっ飛んだ展開でありながら、笠井里美さんの感情の放出たるや…。
母からのマジのビンタの呆然もですが、
父が病床でテストの成績を見て満足そうな顔をしていたことを語る、
裏切りのような切なさの漂う演技や、頬をつたう涙にシビレます。
なかなか思い通りには生きられない人生。
自暴自棄になったり、
思いもよらぬ方向へと流されていったり、
本当は進みたい道をうすうす感じているのに、わざと見ないようにしていたりする人生。
でも…
それもみんな意味のある人生で、
そんなに捨てたもんじゃない……………でしょ。
そして、それでも心の奥底に燻っている思いがあるのなら、
思い切って一歩を踏み出して、
突き進んで
叶えてしまえばいい。
そんな、
慰めてくれる、
背中を押してくれる、
メッセージを受け止めました。
年の初めに、素敵な公演に出逢えて幸せでした。
金井玉恵ちゃん。
カナイ タマエ ちゃん。
夢よ…
叶い たまえ ちゃん。
参りました。