劇読み!Vol.5   ご来場ありがとうございました。 公演情報 劇団劇作家「劇読み!Vol.5 ご来場ありがとうございました。」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    G「五臓六腑色懺悔」
    劇作家の、劇作家による、劇作家のための相互研鑽とプレゼンを目的とした劇団。
    この公演は戯曲のプレゼンであり、戯曲と劇作家の見本市でもあるという。
    今回上演13作品のうちの一つを観たのだが、
    「芝居」と「朗読」の違いのひとつとして「ト書き」の面白さを見せつけてくれた作品。
    アングラテイスト香る、歌舞伎のケレン味もたっぷりな、私の好きなタイプ。
    肝心なところで噛んだのがちょっと残念だったが、ぜひ芝居にして欲しいと思った。

    ネタバレBOX

    客席が演技スペースをコの字に囲んでいる。
    中央に一段高い演台があり、そこでト書き(三原玄也)が
    ハリセンはたきながら語り始める。
    蛤(ささいけい子)は、かつて男との生活に邪魔だと
    幼い息子捨吉を寺へ置き去りにした。
    蛤は懲りずに男を渡り歩きついに自殺未遂、あの世とこの世の境界をさまよううち
    トコヨミ(清水泰子)と出会い、懺悔して何とか息子を探し出したいと訴える。
    トコヨミが探してみると、捨吉の中で“好戦的な物欲”と“それをいさめる力”の
    二つの勢力がせめぎ合ってついに自己分裂、今は昏睡状態にあると言う。
    トコヨミの力で息子の体内に入り込み、対立する二つを和解させて蘇生させるべく
    蛤は捨て身の策を講じる…。

    荒唐無稽な筋立てに、勢いのある歌舞伎仕立てがぴったり。
    流れるような江戸弁も心地よく、若い役者さんも驚くほどはまっていた。
    五臓六腑が天狗組と河童組の二手に分かれて対立する様が面白い。
    人間の相反する気持ちの葛藤がそのまま描かれている。
    行きずりの蛤が、双方に働きかけて和解させるというシンプルなストーリーも良い。
    自己犠牲の理由が“母の情愛”という古典的なテーマであることが活きてくる。

    清水泰子さん演じるトコヨミが味わい深い。
    どうしようもない生き方をして来た蛤を突き離さずにチャンスを与える。
    スレていてもいいはずなのに、包容力と艶のある蛤を演じたささいけい子さん、
    天狗が惚れるだけのことはあって、唄声も優しく美しい。

    黄泉の世界と体内世界、芝居になったらどんな風になるだろう。
    上演時間が2時間超というのはちょっと長いかな。

    それにしても、芝居の動作が朗読の“ト書き”で説明されると、
    一気に想像力が刺激され、風景が広がる。
    キレの良い江戸弁が素晴らしく、異世界を堪能して楽しかった!


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    2014/01/26 20:21

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