銀色の蛸は五番目の手で握手する 公演情報 ポップンマッシュルームチキン野郎「銀色の蛸は五番目の手で握手する」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    銀だこ
    抜群の安定感でベタな展開、なのにこの楽しさは何だろう?
    CR岡本物語(33歳)の強烈なパフォーマンスを見ながら本編の始まりを待つのも楽しい。
    舞台正面奥に出ハケするスピーディーな転換も楽しい。
    宇宙から来たタコが長崎県で友達と仲良く暮らすのも楽しい。
    おじいちゃんが読モを目指して上京、月9に出演するのも楽しい。
    レアルマドリードが地球に棲む宇宙人をかき集めてチームを強化するのも楽しい。
    つまりは一途な気持ちで自分を投げ出す“無償の愛”が一本貫いているなら
    周辺設定は“ありえへん世界”で全然オッケーってことなのだ。

    ネタバレBOX

    早めに入ったつもりでももう8割がた客席は埋まっていて、
    みんな舞台上岡本さんの熱いももいろクローバーZを見て笑っている。
    合間に客席の階段を駆け上がって握手をし、また舞台に駆け戻っている。
    岡本さんほんとすごい運動量、本物見なくても全然いいわ、とオバサンは思う。

    木村オサム(加藤慎吾)は宇宙人。
    15年前に宇宙船が壱岐島に落ちて、おじい(NPO法人)に育てられた。
    友達も先生もみんな彼を自然に受け入れてくれている。
    だが初恋の人ハナ子(小岩崎恵)に振られたのを機に、おじいと東京へ。
    そして15年後、レアルマドリードのキーパーとして活躍するオサムは
    ふとしたことからハナ子の不幸な状況を知り、放っておけなくなる。
    そして彼女を救うため、使ってはいけないあの能力を使ってしまうのだった…。

    タコメイクがすごくて配役を確かめないと誰がやってるんだかわからない。
    でもこのタコがいい子なんだな、優しくて我を忘れるほど一途でしかも芯が強い。
    おじいもハナ子も、みんなこのタコに救われて生きている。
    そしてその結果タコはみんなに助けられて復活した。
    このベタな展開がどうしてこんなに面白くてジーンと来るんだろう。

    下ネタを含むギャグや、危ないジョーク、ナンセンスなバカ騒ぎも
    全ては“幸福な王子”みたいな幹がしっかり根を張っているから。
    このバランスが素晴らしくいいのと軽快なテンポがポップンの持ち味だ。
    “青春もの”、“純愛路線”だけでなく、“スポ根もの”の要素もきっちり押さえている。
    これらひとつひとつを丁寧に重ねているところが、全体がバラケない理由だと思う。
    この集中力とまとめ方が、どこかテレビドラマ的で私は好き。
    お約束で安定させつつ、いかに新しいものを加えていくかが
    今後の吹原氏の腕の見せどころだが
    構成の上手さとあの映像センス、ベタなだけでない洗練という隠し玉もありそうで
    新しい年もコメディ部門を牽引していくのではないかと期待する。

    いつもながら小岩崎さんが可愛らしさを嫌みなく出して上手いし、
    増田赤カブトさんも余裕が出て来たせいか面白くなった。
    おじい役のNPO法人さん、スーパー高齢者に笑った。
    劇団も進化し続けていくんだなあ。
    岡本さんも来年は34歳か…(超余計なお世話)。


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    2013/12/28 04:31

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