THE BELL 公演情報 CHAiroiPLIN「THE BELL」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    サンドイッチ
     ループVS始まりと終わりのあるもののコラボ。その真ん中に日常のルーティンワークがある。スズキ拓朗君の形態模写と動きが清々しい。(追記2014.1.2)

    ネタバレBOX

     まど みちおさんの“やぎさんゆうびん”白やぎさんからお手紙ついた。黒やぎさんたら読まずにたべた。という例の歌である。これは、無限ループの世界だ。それに対して郵便屋さんが配達をするのは、ルーティンワークであっても、毎日、少しずつ何かが違う。お手紙を落とした、とか。こちらは、大枠は決まっているものの、ループはしない世界だ。
    そして、もう一つ。始まりがあって、終わりがある。物語の世界がある。
     例えば名前(宛名)の無い荷・郵便物は3カ月保管するが、その後は、焼却される、と枕を振っておいて、エジプトで史上初めて沖の船から漁獲高を知らせる為に数千年も前に伝書鳩が用いられた話や千Km以上離れた所からでも正確に目的地に到着する能力を持つ故に数千年も用いられてきた伝書鳩が、近年、レースで一羽も目的地に辿り着けないケースが増加しており、その原因に携帯などに用いられる電磁波の影響が疑われている等の情報が入ることによって、人為的な技術が、家畜・野生動物に与える負の影響を喚起すると共に、その後の悲劇を仕込む為の前提要件を紡いでいる。
     飛べなくなった伝書鳩は、名前の無い荷物に手紙を出す。手紙には飛べない現状と荷物の保管されている場所の傍らで飛び立つ訓練を繰り返していること、再び飛べるようになったら、海を見せてあげたい、海に沈む夕日を見せたいとの内容だ。朝日でないことが、荷物の消滅と鳩の死を立ち上げる。つまりここでは名前の無い荷物との淡い恋物語が、ものの哀れを誘ってアンカーのような物語として打ち込まれる。
     今作ではその後郵便物達の配送や、途中で起き得る宛先不明などによる配送不能、郵便物の辿る旅等がパフォーマンスで示された後、床面が引き上げられる。と客席側に向かって床に置かれていた巨大な封筒が立ち現れ、舞台奥から当てられた照明に浮かび上がるのは狐などの影絵。巨大封筒と客の間では黒山羊さんと白山羊さんの間を郵便屋さんが行き交いその度に手紙が届けられる。無論、その度毎に山羊さんたちは、読まずに食べる。
    ンメ~~~、ンメ~~~~というループ構造が明らかにされて幕。

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    2013/12/23 02:55

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