満足度★★★★★
なぜ今「大正天皇」か
文句無しに今年のベスト3に入る作品。
大正天皇の皇后を狂言回しに3代の天皇が描かれる構成、
厳選された台詞、例によって役が憑依したかのような隙の無い演技、
大きな世界観を持ちながら繊細な感情を丁寧に掬う演出、全てが素晴らしい。
なぜ今「大正天皇」なのかと思っていたが、その答えがあまりに鮮やかに示されて
自分の知識の無さに打ちのめされつつ劇場を後にした。
登場人物一人ひとりの誠実さや無念さが押し寄せて、まだ冷静になれない。
政治的なことより、大正天皇という人物に寄り添ってみたいという
何か作者の温かい気持ちが作品にあふれているのを感じる。