gymnopedia 公演情報 ミヤタユーヤ「gymnopedia」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    煌めく。
    まず私はサティについての知識が殆ど無く、その音楽ですら舞台が
    始まってから「あぁ、聴いた事がある」というくらいの無知でしたので、
    かえって自分なりのサティのイメージが存在しなかったのは
    この舞台を楽しむ上では良かったのかも知れません。

    良質な舞台に出会えて、ついつい長くなったので続きはネタバレにて。

    ネタバレBOX

    エリック・サティの物語でありながら、脚本・演出・出演をされている今の
    ミヤタさんそのものを表現している舞台なのだと感じました。

    「天才」と呼ばれるエリックの人物像は、どちらかと云えば音楽や芸術に
    対しては風変わりな面があっても「普通」の青年、と云う描き方をしている
    ように思いました。
    そんな彼が今、「天才」「奇才」と呼ばれている、その原因となったお話。

    彼と、「Erik Satie」を創り上げたピアノの調律師の友人・クリスとの物語。
    脚本はシンプルながらも良く練られていて、90分と云う時間が全く
    苦にならずに最後まで集中出来ました。舞台上に一人しかいない筈なのに、
    転換の間、人物の入れ替わりなども帽子一つで工夫されていて感心。
    これは単独公演を続けられてきた素地が、しっかりしている為でしょう。

    照明が美しく、中盤までの夜を想わせる青と緑の光の澄んだ美しさと
    後半の赤と黄色が混じりあったオレンジの光の、温かさや、強い熱を
    感じられる光も印象深かったです。
    黒を白を基調とした、シンプルでモダンな印象の舞台装置と衣装を
    より引き立たせているように感じました。

    音楽は、全編を通してサティのピアノ曲だったようで、心地の良い音と、
    その音を奏でるように踊るミヤタさんのダンスが美しかったです。
    ストリートダンスは「表音ダンス」と云うそうで、音楽を身体の動きで
    表現するダンスだそうですが、作中での「音が舞うよう」と云う台詞を
    体現していたと思います。
    特にピアノの鍵盤を叩くイメージで、指先を流れるように動かす振りを
    多用していたのですが、この指の先まで神経が行き届いたダンスは
    とても印象に残りました。
    最期のクリスとの別れのシーンでのダンスは、ミヤタさんが泣きながら
    踊っていて、その涙の跡が照明に煌めいて、その美しさに胸が詰まりました。

    父親への反抗心から自分の名前の綴りを c から kに変えていた
    友人のクリスと共に、100年後もエリックの音楽は生き続ける。

    Eric だった彼の名前の綴りは、こうして Erik となる。

    終演後、ふと目を落とすと、配られたパンフレットの表紙には、控えめに、
    そして確かにこの作品のすべてがありました。

    舞台には冬の夜のような澄んだ空気が漂っているけれど、その底には
    人間の温かみが感じられる。芝居と、ダンス。良質で素敵な作品でした。

    カーテンコールでのミヤタさんの言葉にも、深く感銘を受けました。
    やはりこの作品はエリック・サティの物語であり、ミヤタユーヤさんの
    物語でもあったのだと思いました。

    1

    2013/12/02 23:48

    0

    0

  • 素敵な観てきたコメントをご投稿くださり、誠に光栄で御座います。
    ご観劇、有難う御座います。

    「芸術」「夢」「トモダチ」という、ミヤタユーヤ作品では常に柱となるエピソードを軸に、ピアノというモチーフを絡ませながら表現された本作品ですが、ダンスシーンにつきまして特にご好評を賜る機会が多かったように感じられます。

    ミヤタユーヤのダンスの持ち味とピアノ曲という組み合わせ、ピアノを演奏するという動作の相性が良かったのではないかと、鍋田(仮)様のご感想を拝読して改めて感じました。

    初の一人舞台ということで、今までにもミヤタユーヤそしてwimesの作品をご覧いただいたことのあるお客様にどのように映るかは、気がかりな部分でも御座いました。
    鍋田(仮)様に、パンフレットの小さな仕掛けにもお気づきいただける程のあたたかい観方をしていただけたことは、大変に有難く、心強いことで御座います。

    次回作がどのようなかたちになるかはまだ決まっておりませんが、ミヤタユーヤの作品を、またご覧いただける日を楽しみに励んで参りますので、どうぞ今後ともご応援よろしくお願い致します。

    この度は、誠に有難う御座いました。

    2013/12/12 15:50

このページのQRコードです。

拡大