ホンキィ・トンク騎士(KNIGHT) 公演情報 無頼組合「ホンキィ・トンク騎士(KNIGHT)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    因果と人間
     笑いや風俗的要素を盛り込みながら、キチンとシリアスな内容にそれらの要素を活かした、シナリオ、演出の良さもあり、主役級の顔が、物語の進むに従ってどんどん良く見えてくる。
     騎士シリーズ第5弾である。まあ、今迄の人間関係を知らなくても充分に楽しめる内容だ。何と言っても、因果関係をキチンと押さえたシナリオで、オカマバーやそこで働くオカマ達を最初に登場させ、奇天烈なことをやらせて、猥雑な雰囲気を醸し出し、以てこの街の怪しさを自然に感じさせている。実に上手い。(追記2013.11.28)

    ネタバレBOX

     風吹 淳平の今回の依頼人は里奈、28歳。通販カタログなどでモデルをしていると言う。依頼内容は、今夜、ストーカーに会う際、立ち会って欲しい。だが、彼女は酷く酔っていた。訊くとウィスキーを1本空けて来た、と答える。淳平は、この言葉を気に掛けた。何故、そんなに酔わないと事務所を訪ねることができないのか、を疑問に思ったのだ。淳平は、忘れていたが、彼女とは面識があった。以下がその出会いの顛末である。
     美人だった姉が、ネット上でいわれなき誹謗中傷を受け、あまつさえストーカーに刺殺された事件は、里奈ら被害者家族をもいわれなき誹謗中傷に晒した。報道の影響は、地元に居ることを断念させ、親戚に養子に入ったものの、父母は自殺した。その後、彼女自身も黒沢組のヤクザに薬漬けにされた上、売春を強いられていた。淳平と彼女の出会いは、親戚に引き取られる迄、16歳の里奈を守る為に、彼女の父がボディーガードを依頼したのが、オハラの事務所に居た風吹だったことによる。その縁があった為に、彼女は風吹の事務所を訪れたのだった。然も、自分は、好意を持っている淳平に、汚れてしまってあわせる顔が無い、とも思っていたのである。因みに里奈の性格は、16歳の時既に、最も傷ついていた自分を抑えて淳平にねぎらいの言葉を掛けるような少女であった。 
     さて、里奈の依頼を受けて二人は、ストーカーと会うことになっていた約束の場所へ向かうが、目的地へ着く直前、銃声を聞く。音のした方へ行ってみると、ストーカーが銃殺されていた。被害者は、実は、フリーランスのライターで、週刊誌のトップ屋としてかつては名を馳せたこともある男だった。然し、最近は鳴かず飛ばずで冴えない暮らしをしていたのだが、市長に関してのスキャンダルを嗅ぎつけその証拠を里奈が持っていることを突き止めていた。会う必要があったのは、証拠を入手し、礼金を支払う為であった。ライターを殺害した犯人は、二人が来た為、泡を食って逃亡していた。ライターの持って来た、礼金の入ったカバンはそのままだったので、淳平、里奈がそれを預かり、再び銃撃して来た犯人から逃れるが、鞄の中味は1千万円、その金は、黒沢組が貸し付けたものだった。然も、市長スキャンダルとは、黒沢組が、市長に女を抱かせ、それを撮影してSDに保存し、組再興を目指してゆすりを掛けていたことであった。
     市長スキャンダルをもみ消す為に動く裏社会の調整屋、警察、元黒沢組の残党、風吹とその仲間とSDを持ちだした里奈が絡んで、物語は進展する。
    この間、各グループ入り組んでの活劇が進展するのだが、それは、割愛する。終盤、ヤクザから里奈を救い、彼女の頼みを聞いて、幸せだった頃の思い出、メリーゴーランドへ歩みゆく二人を銃弾が襲う。まだ息のあったヤクザに撃たれ里奈が被弾した。薄れゆく意識の中で、またしても彼女は淳平にねぎらいの言葉を掛ける。彼女は、淳平の腕の中で死んだ。
    この後、彼女の死は、通り魔的犯罪として片付けられ、市長は1カ月後、病気を理由に辞職、事件はその本質を隠蔽されたまま幕を閉じた。
     最初の部分と重なる所もあるが、記しておく。オープニングでオカマがたくさん出てくるなど猥雑な雰囲気を演出することで、この街の性格を説明。この猥雑さの中でなら何が起こっても不思議はないと観客に思わせる所が上手い。シナリオ・演出も勘所を良く掴んで、緩急のバランスも良い。演技も主役級は話が進むにつれてどんどん良く見えてくる。内容が良い証拠である。

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    2013/11/26 15:48

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