地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち- 公演情報 てがみ座「地を渡る舟 -1945/アチック・ミューゼアムと記述者たち-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    長田さんは、井上さんの再来かも
    旗揚げから何作か拝見したてがみ座ですが、このところ、諸事情でしばらくご無沙汰していました。

    久しぶりに観ようかなと思ったのは、古川さんがご出演になるのと、渋沢栄一の息子さん、渋沢秀雄さんと亡父が昔テレビ番組でレギュラー共演者だったので、私も何度か秀雄さんとは面識があったからです。

    子供のころでしたから、渋沢家の事情には全く無頓着で、秀雄さんとこの芝居に登場する敬三さんの関係もよく存じあげませんでしたが…。

    ですから、この芝居で描かれた物語は、私にとっては実に新鮮でした。

    どこまでが虚構で、どこからが真実か、私には、わからないながら、このストーリーは、民俗学を通して、日本の戦争時代を投影する趣で、構成や演出がとても時機を得て巧みな舞台だったと感嘆しました。

    大まかに分類すれば、歴史劇的な作りでもあるのに、しっかりと各登場人物に、血が通っている脚本に、敬意を表したくなります。

    相変わらず、扇田さんの演出も、細やかで、技法が卓越していて、感心しました。

    丁寧な長田、扇田ご両人の巧みの技に、華のある役者さんを得て、全てにおいて、申し分のない演劇だったと思います。

    ネタバレBOX

    渋沢敬三の奥様が、岩崎弥太郎のお孫さんだったこともこの芝居を観るまで、知りませんでした。

    民俗学は、柳田國夫を知る程度の知識しかありませんでしたが、人間の記憶の保全のための大切な学問かもしれないと、この芝居を観て強く感じました。

    後の世で、先人の生き方を学ぶことはとても大事なことなのに、これから、この国の人は、それすら知らない国民になりそうで、非常に恐ろしくなります。

    いろいろと、人間の生き方を反芻するきっかけを与えてくれる秀作舞台でした。

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    2013/11/23 01:08

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