素顔同盟【全日程終了!ありがとうございました】 公演情報 劇団東京ペンギン「素顔同盟【全日程終了!ありがとうございました】」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    仮面の世界
    この劇団は初見でしたが、原作の素顔同盟は中学時代教科書で読みとても惹かれた作品でした。自分の中のイメージがもうあったので他人がどう捉えているのか興味がありました。作品自体の捉え方は違いましたが私が抱いた世界観とはかなり合っていてとても雰囲気の良い作品に仕上がっていました。
    モノトーンの舞台セットも素敵でしたし、グレーで統一した衣装など仮面がより引き立っていて良かったです。原作を好きな人でも充分楽しめると思います。

    ネタバレBOX

    原作では学生の主人公がそのまま川の上流に向かって行くのですが、そこでは行かずに大人になったという話。
    大人になってからと学生時代と時間軸が行ったりきたりしますが、仮面をつけていて役者さんの表情など見えないのにわかりやすく表現されていました。場面転換がスムーズで音響や証明をつかっていろんな場面を現しているのもお見事でした。
    ストーリーは言いたい事はわかるんですがちょっと詰め込み過ぎた感も感じました。仮面の下の表情を読み取って欲しいというメッセージは凄く良かったのですが、最後に主人公が素顔で生きていく事を選ぶ事によってそのメッセージは伝わりずらかったかなと少し思いました。
    私は原作を読んで、ほとんどの人間は仮面をつけている生活に不満などもっていなく不自由なく暮らしている中、疑問を持っている主人公が自分だけがおかしいんじゃないかと悩んでいる時にある少女に出会い希望を見出すようなそんなイメージを持っていたんですが、今回のストーリーはほぼ全員が心のどこかで疑問はかかえていてそれを受け入れて生きているか受け入れきれなくて爆発的に仮面をとってしまったりしているので主人公の存在が特殊な存在ではなくなっている事や同級生の女の子が中学生時代に仮面をはずしてしまった出来事など、主人公が少女に特別感を抱く説得力が薄くなってしまったようにも感じられました。あれではただの一目惚れではないのかと。でもそれによって学生時代にそのまま上流まで歩いていけずに引き返してしまったという設定には納得ができました。
    全員が心のどこかで疑問をかかえて生きている事によって仮面社会の問題点などが浮き彫りになってた一方で主人公と少女というキーパーソンの存在は薄くなってしまっていた気がします。
    北野の婚約者が大衆の前で仮面を外したのはある意味テロみたいなものなんじゃないかと感じました。北野にだけわかって欲しいなら家でやればいいものを大勢の前でやるという事は自分がこの世界に対して思っている事をたくさんの人に知って欲しい、そして共感してくれる人間を探していたのではないのかと。ただわかってくれない北野に対して我慢ならず衝動的にやったという事かもしれませんが(笑)
    仮面以上の笑顔というのも言いたい事はわかるんですが、一番最初の少女の笑顔が暗かったせいもあり作られた笑顔にしか見えず、良くできている仮面だなあと思っていたら、素顔だったのでその表現は難しかったのではないかと思いました。
    作品の捉え方はひとそれぞれなのでなるほどーと観終わった後思いましたが、全体を通して雰囲気も良かったし役者さん達も好演されてましたしストーリーの世界観にどっぷり浸かって観る事ができたのでとても良かったです。
    斉藤コータさんと岡野康弘さんが個人的には良かったです。

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    2013/11/09 15:07

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