nora(s) 公演情報 shelf「nora(s)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    原作の印象を崩すことなく
    原作を読んだのははるか昔だし、別に予習をしていったわけでもないので、原作の細かいディテールとシーンを結びつけることはできませんでした。

    それでも、だいたいの物語の骨格にシーンたちをぶら下げることはできて、それぞれが突飛に感じられることがなく、描かれるものもよく研がれ新鮮に感じられました。

    ネタバレBOX

    入場して、板付きの役者達を観ていると、それぞれの表すものが微妙に違う。
    漫然とながめた舞台が、すでに絵面としてニュアンスを持ち、編み続けていることに気が付く。

    下手の女性には、すこし動きがあって、舞台全体の静かさのなかで、その時間を生きる感じ。
    中央で座り込んだ女性は時々何かをつぶやき、想いのコアを滲ませる。
    さらには眠る女性が目覚めない意識の置かれ方に思え、舞台奥の夫の存在も全体のなかの座標として印象に残る。さらには、上手にはまだ動くことのない、解き放たれていく女性の印象があって。

    開演すると、切り出された様々なシーンが描かれ、それは時に台詞により綴られ、歌により溢れだし、韓国語と日本語の重なりによって醸された表層から内面までの厚みによって形をなしていく。で、観る側にとっては、それらが舞台上の単独のパフォーマンスとしてやってくるのではなく、常に刹那やシーンごとに舞台全体のミザンスや空気とともに物語られるものとなり訪れるのです。また、舞台のどこかに強い印象があっても、その場に座標をあたえる空気の作られ方が舞台全体として途切れることなく行われていることにも感嘆。

    観終わって、とても端正で、常にシーンの空気があって、でもそこには、ビビッドさ生々しさが失われることなく残っていて。
    なによりも、主人公(達)の想いの遷移がちゃんと終盤の台詞に束ねられ、実存感とともに組みあがっていることに驚く。

    韓国語と日本語の重ね合わせは、韓国語が全く理解できないこともあって、内心の無意識の想いと意識下の想いの織り上がりにも感じられて。
    そして、その印象を編み上がりのさきにある2人の役者たちのバラケなさから呼吸の整合の技のようなものに思い当たり、改めて演者たちの技量を感じたことでした。

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    2013/11/02 12:10

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