未来を忘れる 公演情報 文学座「未来を忘れる」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    面白哀しい物語 未来版ヤプーか?
     近未来かどうか、兎に角、そんなに遠くは無いと感じられる未来のある時、日本は、隣国からのミサイル攻撃を受けた。その後もミサイルは打ち込まれ続け、そのうちの1発は核施設に命中、甚大な被害を齎した。同時期、M8を超える大地震が、3度も日本を襲い、津波とのWパンチでこれまた大きな損失を被ると共に、多数の人命が露と消えた。悪いことは重なるものである。この時期、火山活動も活発で各地で噴火が起こり、放射性核種に由る汚染のみならず、火山から噴出した有毒ガス等も加わり、日本の経済、インフラ、情報総てがズタズタになった。戦争自体は、アメリカ軍のミサイル攻撃により隣国の首都が、消失したことで3カ月で終了したものの、廃墟となった日本の避難民は確認された者だけで500万人を超えた。無論、富裕層は初期の段階で皆海外に避難しており、ダメージは最小限に留まっているが、脱出できなかった者たちに明日のあろうはずも無い。

    ネタバレBOX

     こんな事態を見透かすかのように某製薬会社が新発明をしていた。深刻な副作用は報告されていたが、ことここに至っては、選択の余地は無い、として多くの人々が、新発明の効果に頼った。実際に何がどんな風に変わったかと言えば、貧乏なヒトはゴキブリとのハイブリッドとして生き延びる道を余儀なくされたのである。無論、この流れに抵抗を試みるヒトは居た。然し、3億年以上もの間、殆ど、変化することなくその生命を維持して来、人類発祥以降は、共生して来たと言っても過言ではない、この生き物の生命力なしにヒトが、この地で生き抜くことは不可能と考えて、人々は、ハイブリッドの道を「選んだ」のであった。ゴキブリ・ヒトハイブリッドという生き物は、精神をゴキブリが、肉体をヒトが担う。即ち精神をゴキブリに支配されたヒトが誕生したわけだ。その精神は、当然、歴史的にヒトが担ってきたものとは内容が異なる。然し、他の選択肢はあり得なかったのである。かくして、日本は、ゴキブリ・ヒトハイブリッドの天下となった。面白哀しい物語。
     舞台は基本的に裸舞台。コンパネを床面以外の4面に張り付けただけのシンプルなものだ。無論、観客席側は、開いている。仮面、スマホ、着衣などの小道具が、場面によっては掛けられていたりするが、後は、総て照明によって、恰も魔法のように、変化する。例をあげる。ホール会場に変じ、或いは、遺伝子、細胞や卵などのミクロから日本、地球全体、時に宇宙を思わせるイマージュへ演出家の狙い通り、話の内容に応じて自由自在に変化するのだ。この技術は驚嘆に値する。現代のテクノロジーを操り、身体を延長して見せた演出は、文学座の伝統には抵触するかも知れないが、この職人技は、ホントに凄い。この技術を目の当たりにするだけでも、観る価値はあると言いたいほどだ。話に多少荒唐無稽な所はあるが、役者の技術が高いので、無論、キチンと芝居という枠に収まっている。但し、革新的ではある。それを、友の会の人達がどう観るかによって、文学座のこれからの動向が占えるかも知れない。
     作品タイトルも、この植民地住民の知性を嘲笑うようで、自分は好みである。何故なら、植民地住民に甘んじている程度の人々に自分達の手で開く未来等あろうはずも無いから。彼らが、人間のフリをする為には、その事実を忘れる他に方法がないのは明らかだからである。

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    2013/10/20 03:36

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  • 増岡 裕子さま
     メッセージありがとうございます。
    返信が遅れて申し訳ありませんでした。
    釈迦に説法で恐縮ですが、こんな観客も
    居るのだと、気楽にご覧ください。

     演劇に正解などありません。だから、
    こうして延々と続いているのでしょう。
     「人形の家」が発表された時も、下馬評は、
    散々だった、とか「オイディプス王」も当時の
    コンテスト優勝作品ではありません。2位の
    作品です。現在、1位を獲った作品は残って
    いないので、詳細は分かりませんが、自分の
    想像では、政治的に利用する価値が高かった
    作品なのだと思います。つまり、決して作品自体が、
    「オイディプス王」より優れていたというわけでは無く、
    為政者が統治するのに都合のよい作品であったに
    過ぎない、と。他にも、発表当時センセーションを巻き起こした
    作品が後になって高い評価を受けることもあると思います。
     作品が、本当に人の心を打ち、観客に忘れがたい印象を
    与えるならば、発表当初は、中々理解されなくても、チャレンジ
    し続けて良いのだと思います。拒否反応を起こした人々は、
    自分の価値判断や価値体系が崩されることを恐れているだけ
    でしょう。魂を裸にできない人々を怖がる必要など、サラサラ
    ありません。まあ、組織の中にあると、色々、しんどいことはあるでしょうが。
    折れずに、信じる道を歩んでください。分かる人は必ずいると信じます。
                                 長谷川 明(ハンダラ)拝

    2013/10/30 12:03

    ご来場いただき、ありがとうございました!

    今回の芝居に関する文学座友の会のご感想はさまざまです。
    アトリエ公演では、今後も革新的な作品を取り上げていきたいと考えているのですが…複雑に思うところもあります。

    勝負していきますm(__)m

    2013/10/22 11:59

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