満足度★★★★
人間性態図鑑
とある高校の教師や生徒、彼らの行きつけのカフェのスタッフなど、総勢14人の男女の間で織り成される不安定で乱脈でドロドロした色恋模様をクールなタッチで描いた、「人間性態図鑑」とでも呼びたくなる劇。
保健体育は人間の恋愛行動や性行動を客観的に捉え、体系化することを役割の一つとするが、本作も劇の書き手が特定のカップルに肩入れなどせず、現実に存在しそうなとてもリアルなカップルたちの有り様をできうる限り冷ややかに客観的に描いており、書き手のクールさは観客にも伝播するのか、こちらもクールに、冷静に、客席のあちら側の世界をまるで「観察」するような眼差しで見てしまう。
映画で言うロングショットのような引きの目線で見るからこそ、性や色恋の不気味さ、おぞましさがかえって鮮明に見えてきて、そこのところがとても面白かった。
しかし、痴話喧嘩を繰り返し、くっ付いたり離れたり浮気したりを繰り返すカップルたちを見ていると、一夫一婦制というものがいかに自然の摂理に反した人工的な制度であるかを思い知らされますなぁ(;´∀`)