満足度★★★★
わ…笑って…いいん…だよね?
娯楽として演劇を楽しめる人には胸を張ってオススメしたい。
高尚なテーマや芸術的な演劇表現、というものとは縁遠いが、
日常の中の面白い事、ハプニング、
そういう事に演劇スパイスをふりかけ、
微妙な異次元に連れて行ってくれる。
くだらない事を真剣に、些細な事を大げさに、
心の声がだだ漏れに。
全力で舞台に立ってる人たちを観るのは、僕は好きだ。
所々、
「え、このシーン、笑っていいの?」
みたいな微妙な空気感が客席を包む。
舞台上の人物たちは、大真面目に、
精一杯に生きて、喋っている。
ただ、どうも、言ってる事とか、様子がおかしい。
「笑っていいの…?なんか面白いんだけど…いやいや…」
この、どこに気を遣ってるんだか微妙な緊張。
それが、誰か一人のクスリという笑い声をきっかけに、
堤防が決壊するように溢れ出す。
「あ、やっぱ面白いと思ってる人いるんだ。良かった。」
この、妙な安堵感。
かの桂枝雀氏の著書『落語 DE 枝雀』に、繰り返し出て来た
「笑いの基本は緊張と緩和」
という言葉を思い出す。
客が勝手に緊張して、勝手に緩和されて、笑い出す。
この状態は一体なんなのか。
この、妙な空気感と笑いこそが、
風来ズの魅力だと思う。
今回も、その魅力は健在。
迷惑で、おかしくて、でも愛おしい。
そんな人物たちを、役者陣が好演していた。
なにより、今までこの劇団最大の飛び道具だった山下ポニーさんが、
レギュラー出場、
不器用で、まっすぐで、憎めない、鳶職の親方を怪演。
これ、この人にしか出来ない、ズルい。そう思う。
「クス…クスクス…アハ。」
そんな笑いを楽しみたい方、オススメします。
他にも色々書きたい事あるけど、続きはブログで。