期待度♪♪♪♪♪
舞台という名の第一楽章
クラシック音楽には、その曲に込められた「魂」がある。
復活を果たした「東京イボンヌ」が奏でる楽聖•ベートーヴェン…。
どのような「愛の形」になるのか、全く分からない。
ベートーヴェンの名言を紹介したい。
「私は何度も絶望し、
もう少しで自殺するところだった。
だが、彼女が…芸術が…
引き止めてくれた。
私は、自分に課せられている
と思っている創造を全てやり遂げずに、
この世を去るにはいかないのだ」
今作は、引き止めた“彼女”を繊細なタッチで描く。
ベートーヴェンは現代に通ずる名言も残している。
「25歳。
それは男のすべてが決まる年だ。
悔いを残してはいけない」
駅に設置中のフリーペーパーで、この数字を ご覧になったことはあるでしょうか。
そう…配布数国内No.1の『Rー25』です。
もちろん、仕事、地位、ライフ スタイル、女性観などを含む。
物語は、2013年東京。
末期のベートーヴェン研究家と娘の再会だ。
それを、ベートーヴェンー“彼女”とリンクさせた構図らしい。
親子、恋人の関係性は「似て非なる」ものだと思う。
また、いずれも「愛の形」だとすれば、この世の理想郷ではないか。
あらすじ には こう記されている。
「父はベートーベン研究家であり、研究に没頭するあまり、娘が幼い頃に家族を捨てた。一方、娘は父を失って以来、何を信じて生きれば良いのかわからない」
そうだ。人間は「愛の形」で狂うのだ。
そうした繊細な世界観を、ピアノ、声楽 等を交え表現する試みは斬新であり、クラシックファンこそ観劇するべきである。
音楽劇ではない。
クラシック音楽の持つ心象世界が、声と、手と、足と、顔(つまり身体性)により具現化される…。
おそらく60パーセントの割合で。
日頃 コンサート会場へ赴き、鑑賞する身だ。
多くのパンフレットは、曲の解説を載せるが、叙情的かつ難解である。「前半に掛け、フランス軍の勢いを表現」は強弱を聴き比べれば、誰でも理解できるだろう。
しかし、作曲者や時代の「内面性」は そうはいかない。
なら、60パーセントの割合で具現化するのも「有り」ではないか。
「内面性」=「愛」を、演劇と音楽で表現する。
その響きは、小劇場をコンサートサロンへ変える。
私たちを安心させ、時に 躍動させる力である。