良きひととせ。
前回公演が「ざっぱぁ~ん」ってなタイトルだった訳でして、行けなかったものの「何やら楽しそうだな」と思ったのです。そして今回またそういう風味を含みつつなのかなーと、のこのこ行ってみました。絵描きの話だからギャラリールデコ。あそこでこれまで観た芝居で最も上質かも。いやはや、御見それしました。今日の時点でこれだけのものをやっているので、明日以降に観るという方が羨ましい。濃密度の90分。
最初の印象は「御行儀の良い芝居」。色々なファクターを適切な扱い方でちゃんとパズルのピースを埋めていく感じ。その上で、役者のやってる事にもほとんどブレがないのです。当て書きをしたのだろうと思うのですが、それにしても見事に合っている。またそれを役者も自信をもってやっていました。こうなれば観ていて違和感なんて何処にも沸きません。惹き込まれる。手紙の遣り取りからなる部分は詩的でありつつ、素敵。
個人的には美和を演じた辻麻由さんに注目。声質からか気の強い印象を与えつつ、しかしそれだけでない内包したもの垣間見せる役柄を好演。しかも嬉しさと悲しさの両極面において物凄く良い表情を見せてくれまして、危なく恋をしそうになりました。あぶねー。もう1回観たらきっと完全に落ちます。
舞台を挟んで対面式の客席になっているのですが、見切れが少ないのは入り口から遠いほうの席。トイレとかスタッフブースのあるほうです。そっちのほうが辻さんの表情もよく見えます。