満足度★★★
即興の音楽とダンス
ミュージシャンとダンサーによる即興パフォーマンスで、即興ならではの緊張感や意表を突く展開が印象的でした。
第1部はミュージシャンだけによる演奏で、Dの音を中心音にした様々な旋法による変化に富んだ即興が約1時間切れ目なく繰り広げられ、音楽的に充実していて楽しめました。
第2部は男性2人と女性3人のダンサーが加わり45分程度のパフォーマンスが展開しました。ステージだけでなく、客席の通路も用いて視線を固定させない趣向もありました。
それぞれスタイルの異なるダンスは個性が出ていて良かったですが、後半は他のダンサーの動きを模倣したり、客席にいた子供(出演ミュージシャンの子供だったようです)をステージに上げたり、観客に手拍子をさせたりと、安直な効果に頼った展開に感じられました。
音楽における調性やコードのような形式化の為のはっきりとした共通文法が存在しないコンテンポラリーダンスでは、多人数による即興で45分間持続させるのは難しいと思いました。演奏もダンスに引っ張られて硬直化している感じがあり残念でした。
数分間踊ったアンコールも華やかさはあったものの、中身が無くただ騒いでいるだけに思えました。
後ろの席の人が演奏が始まっても喋っていてうるさいので振り返ったところ、この公演を企画した、作曲家の池辺晋一郎さんでした。招待した客をもてなそうとするのは理解できますが、他の客の迷惑になる行為は慎んで欲しかったです。