こども達を解き放つミュージカル
前半は『+ new compny』に所属するメンバーが、後半は こども達も参加したミュージカル•ショーを披露した。
こども達は、主に中野区内在住の5歳頃〜中学生頃の男女で、14日、15日『+new compny』開催のワークショップに参加している。
今舞台は、いわば一回限りの発表会だから、こども達の意欲も凄まじかった。
同カンパニーの宣伝をするようだが、記しておきたいことがある。
「演劇と教育の融合」を目指し、全国の学校、地域の文化施設、東日本大震災の被災地などで公演を行ったり、ワークショップを開催してきた。
そうした、「演劇と教育」をテーマとする団体を 他にも存じ上げているので、ぜひ ご紹介したい。
東京都文化発信プロジェクトと密接な、『芸術家と 子どもたち』というNPO法人である。
今年、野方区民ホールで、こども達のダンス•ワークショップ公演を行っている。
当然ながら私も観劇した。
その公演と、『+new compny』の公演を対比させることは関係者のためになると思う。
前者は 数週間といったスパンで、
資金バックも充実したなかワークショップを繰り返した。
メンバー(全員小学生)のうち、9割以上が女子、男子は 3人ほど。
全体としては30人程であろうか。
その公演を観劇して分かったのは、「ダンス好きな、演劇好きな小学生が集まったな」という事実であった。
それに比れば 、まず後者は5歳、6歳の幼児が中心であるし、男子も2割程度だった。
実際、ミュージカル•ワークショップ公演の舞台に出演したこども達については、「一般の子かな」と思った。
技術的な面ではなく、極めて曖昧な感想である。
後者は、やはり園児を卒業していないこどもが多いため、最初は『おかあさんといっしょ』の画面を浮かべてしまった。
しかし、会場を和ませる こども達の 突拍子もないアクションこそ、公演の大きな柱として堪能できたのだ。
代表の方が話している最中、舞台の端から端へ走ったり、顔だけ出して笑顔を振りまく アクションである。
それが、「幼児の為せる特権」であって、私が「一般的」と感じた理由かもしれない。
幼児ばかり目を向けてしまうのは、八百屋でミニトマトが売れる現象だろう。
ただ、中学生女子と見受けらるメンバーの手紙を読んだ その内容は今もって考えさせられる。
「小さな子も頑張っていたから、私も頑張らなきゃと思った」
お姉さんメンバーは、後方で、あるいは前方で、カンパニー•メンバーと変わらぬパフォーマンスをみせてくれた。
では、メンバー全員で「キャッツ」を踊っている時、観客の視線は どこにあったか。
可愛い、小さな 幼児へ注がれたのではないか。
小学校高学年の女子、中学生の女子がティーンズ世代としてユニットを組み、別にミュージカルを発表する構成があって よかったと思う。
それぞれの持ち味を観客が堪能できる以上に、こども達の切磋琢磨を磨く原動力たりえるからだ。
私が上演されたミュージカルで最も上げたい作品は、劇団四季「キャッツ」である。
猫に耳を付け、シッポを装着した姿は、可愛らしさに尽きた。
といっても、主体性を保ち、それでいてショーの統一性を確保したのは 「さすが」としかいいようがない。
こども達は「自分が何をやればいいのか」を、一人ひとり理解している。
バラバラではなく、一体なのだ。
『おかあさんといっしょ』の画面を浮かべた、と書いたが、5歳の少女は それを見事に覆した。
「2日間みんなと歌や踊りをやれて、楽しかった」と。
これが、「演劇と教育の融合」である。
これが、結果である。